#640 なんせハルトはてっちゃんだ、誰よりもテツを愛する者たちの一人なのだ
#640
「あのなあアリス、さっき消滅すること?ってなんだか訳アリのような言い方をしたようだが?」
「なあんだ、ハルト隊長にはオミトオシでしたか?」
「いやいや、オミトオシの訳がないだろうが、おい、アリス、正直に言えよな」
アリスもハルトもルミナも口を閉じて、ブリッジには静寂が訪れる。
口火を切ったのはアリスだ。
「いえね、今日運航してわかりました」
「何が?」
「スペースレールはやはり生きているんですよ」
「そうだな、宇宙初の自律型レールだからな」
「その一度レールに与えた生活をこちらの都合で消滅させるのはレールに悪いかなあって」
「なにい?」
ハルトはアリスの言おうとしたことがわかる、なんせハルトはてっちゃんだ、誰よりもテツを愛する者たちの一人なのだ。
「アリス、レールを撤去する前にもっと延伸して、この宇宙にとってかけがえのないモノにするという作戦はどうかな?」
「それをハルト隊長が承認して・・・頂けるのですか?」
アリスが少しだけ、改まってハルトに言う。
「なあ、そうしようぜ、そしたらスペースレールが邪険に扱われることはないだろう?」
ハルトは自信満々に胸を叩く。まあハルトが言っていることは無茶苦茶ではある。
「ハルト隊長、その通りですね!」
ルミナも同調してくれる。
「ハルト隊長、その方向でぜひお願いします」
いつのまにかミーナミも同意する。
「ははは、だけど、ミーナミ指令達の休みはしばらくの間、なしになるぞ?」
事実上、ハルトの賛成を得て、関係者一同からは大きな叫びが湧き上がる。
「やったぞー」
ルミナは大喜びだ。
「やったね」
ミーナミも手を叩く。
「それじゃあ、今日はお祝いに飲みましょう」
ルミナが提案すると、みんな賛成する。そして、この夜も更けていくのであった・・・。




