#639 ここまで敷設したレールは仮設だから明日には消えちゃうんだっけ?
#639
「ミーナミ指令へ、ハルトより・・・」
「ミーナミです、何か?」
「ハルトより、虹は女神ソフィア様からのお祝いだよ、ソフィア様はスペースレールを認めてくれたようだ」
「ハルト隊長ありがとうございます、女神ソフィア様の加護が得られてうれしいです」
虹の架け橋をくぐったコスモ1号は仮終着駅のプラットフォームに無事滑り込む。
「仮設駅停車」
ミーシャは停車を宣言すると、コスモ1号のノッチを完全に戻してゼロにする。そして、メインブレーキをかけて、コスモ1号を停止する。
「試験走行成功おめでとう、そしてありがとう」
ミーナミは、指令としての達成感を感じながらコスモ1号の運転士4人にねぎらいの言葉をかける。
「ミーナミ指令もお疲れ様」
ハルトも万感の思いだ。
「ねえアリス中佐、スペースレールの走行試験、ここまで見事に成功したわね、おめでとう」
ルミナがアリスの手をとって握りしめる。
「ルミナ艦長、そんなに強く握ったら痛いですよ」
アリスは嬉しそうに返事をする。
「ところでアリス中佐、ここまで敷設したレールは仮設だから明日には消えちゃうんだっけ?」
試験運転が成功してお祭り騒ぎの中、聞きにくことをアリスに聞くのはハルトだ。
「あ、ハルト隊長、うん、あれ・・・聞きにくいことをずばり聞いてきますね?」
「あ、いや、その・・・ごめん」
ハルトは素直に謝る。
「まあ、そのとおりですね、仮設スペースレールは明日には消滅することになってます」
「なってます?」
またアリスがおかしなことを言いはじめたぞ、とハルトはアリスに聞き返す。
「え?消滅しちゃうんだっけ?」
ルミナが驚く。
「ええ、このスペースレールは宇宙空間に突然敷設したから、すぐに撤去しないと航行する宇宙船にとってはデブリと一緒になっちゃうんです?」
アリスは試験走行で実感したことだ。




