#635 第3閉塞進行、亜光速にノッチを進段
#635
いずれはアリスが解決してくれると思うので、エリオット国王には簡単な測定器を付けて、体の状態をアリスに送るようにしておく。
そして、応急処置として耳にある三半規管の感度をにぶらせる薬を国王に渡す。
「国王様、そのお薬は酔い止めです、さくっと飲んでくださいね」
エリオットはカノンに優しく言われて、受け取った薬を素直に飲み下す。
「うん、気分がよくなってきた気がするのじゃ」
エリオット国王は薬の効果ですっかり上機嫌になったと思ったら、うつらうつらし始めている。まあ、寝るのが一番だろう。
「ミーシャより指令室、第2閉塞進行確認、進入します」
「指令室了解」
「ノッチを亜光速に進段」
ミーシャはそういうと再び、コスモ1号の速度を亜光速に加速する。コスモ1号の周囲は再び闇に包まれる。
「アリス中佐、コスモ1号の状態はどうですか?」
スペースレール指令室でミーナミがアリスに尋ねる。
「アリスより、想定よりもコスモ1号がいい仕事をしてくれています、クルーの4人もとても優秀ですね」
「それは良かった、シミュレータによる特訓が効いたってことでしょうか?」
「まあ、元々デキル人たちなので、これくらいは当たり前でしょう」
「ノバより、プラズマレールのKDLS全て正常です、近くのレール同士が自主的に情報を交換し合って、周囲の変化に対応しようとしています」
「それはすごい、これは今後の宇宙新時代を招くことにつながるね」
アリスが興奮している。ほおっておくと、近くのレール迄すぐにでも生きかね様子だ。
「コスモ1号より指令室、第2閉塞終了、亜光速より通常速度に移行!」
ミーシャは第2閉塞区間を抜ける前に、通常速度にコスモ1号を移行する。
「こちら指令室、周囲に異常は見受けられない、そのまま第3閉塞への進入を許可する」
ミーシャは指令室の許可を受けると、第3閉塞へコスモ1号は進入する。
「第3閉塞進行、亜光速にノッチを進段」
ミーシャは再びコスモ1号を亜光速に加速する。この運航最後の亜光速だ。
コスモ1号は光の帯を振り払って亜光速域に加速する。周囲の光は再び見えなくなり、コスモ1号を宇宙の闇が押し包む。




