#634 とてもいいですわ、どきどきしちゃいます
#634
ミーシャは第1閉塞区間に進入すると、まずは制限200を維持する。
「第1閉塞異常なし、制限500」
第1閉塞に進入、異常がないことを確認したコスモ1号は速度500まで一気に加速する。
コスモ1号は順調に加速し、プラズマレールと一体になって第1閉塞を快調に進む。
「ミーシャ車長、亜光速まで加速出来ます」
リリアがモニタを見ながらミーシャに告げる。
「よし、コスモ1号亜光速まで加速する」
ミーシャはそういうとリリアに目配せする、リリアはもちろんOk、と目で返事を返す。
ミーシャはリリアの同意を確認すると、ノッチのロックボタンを押しながら、亜光速加速にノッチをさらに進める。
その瞬間、コスモ1号はさらなる加速をして、光が追いつかない領域に入る。
「まもなく第2閉塞進行、亜光速一旦解除」
第1閉塞から第2閉塞までの距離は実験のために本来よりもかなり短い。そのためにコスモ1号はすぐに第2閉塞に入ってしまう。
「減速開始」
ミーシャはコスモ1号の亜光速を解除して、一旦通常速度領域に戻る。周囲には再び宇宙のかすかな光が戻っている。
「アミルより、コスモ1号プラズマエンジン及びプラズマレールに異常なし」
「リリアより、KDLS異常なし、指令室とのリンク正常」
コスモ1号は順調に運行を続ける。
「お客様、コスモ1号の乗り心地はいかがでしょうか」
カノンがエリオット国王にマニュアル通りに語り掛ける。
「とてもいいですわ、どきどきしちゃいます」
とは王妃のエリーナ様の感想だ。
「ううん、まあまあ、じゃのう?」
なんだか歯切れが悪いのがエリオット国王だ。どうやら酔ったらしい。
ハルトがインターワープ酔いをするのと同じようにエリオット国王はプラズマレール酔いするようだ。滑らかな走りなのだが、長周期の揺れがあり、それがだめらしい。




