#630 おおお、これは、なんだかうれしいシステムだね
#630
今は始発駅オツキと閉塞1から3までに区間が表示されている。もちろんいずれは惑星間を網羅する路線図になる予定だ。
左右のモニタで運航中の車両の外観と運転席、客室内がライブカメラによりリアルタイムで見ることができる。その近くには車両の速度、方向ベクトル、位置情報なども同時に表示されている。
さらに上方にはプラズマレールの現状が表示されている。これらの情報ステータスは全てブルーで、正常に運行が可能であることが一目でわかる。
「これはすごい、さすがアリス中佐だ」
ミーナミはアリスに感嘆の言葉を贈る。
「へへーん、お褒めの言葉ありがとうございます、でもね、これらの情報はKDLSを体の一部のように操り網羅することができるそこな奥様ノバ少佐が提供してくれているのですぞ」
アリスは指令センターの秘密をミーナミ教えてくれる。
「そっか、そうだよな、この宇宙のことを誰よりも一番知っているのは、元祖航法ユニットのノバさんだもんな」
「そんな、ホメテもなにも出ないですよ」
ミーナミに称賛されてノバは顔を真っ赤にして、盛んに顔の前で手を振って後ずさりする。
「そうだね、ノバさんと自分はコスモ1号に乗車するのが仕事ではなくて、ここで初運航が成功するように、手配することだよね」
「そうですよ、ミーナミ指令ならきっとできますよ、さあ、キャプテンシートへ「どうぞ」
ノバはそういうとミーナミの手をそっと握って席に誘う。
「うん、わかったありがとう」
ミーナミは真新しい指令用キャプテンシートに腰をおろすと、シートに装備されているコンタクトを頭に装備する。
「ミーナミ大尉をセンター指令として承認します」
システムボイスがミーナミ承認を告げると、キャプテンシートは一段と高い位置に持ち上げられて、指令室全体を見渡すことができるようになる。
「おおお、これは、なんだかうれしいシステムだね」
「ノバ少佐を副センター指令として承認します、センター指令とほぼ同じです」
「ねえ、正副の違いを教えて」
「センター指令と副指令の違いは、指令はこの指令室の自爆命令を承認できることだけです」
「ええっ、いざっていうときは自爆するってこと?」
ミーナミはモニタに向かって叫ぶが、沈黙している。




