#629 さあ、機嫌を直して、そこのキャプテンシートに座りなさいな
#629
珍しくチューブではない、料理がテーブルに並んでいる。パンとサラダを添えたハムエッグ、それに飲み物は好きなものが飲めるらしい。
「わあーすごい、うれしい」
リリアとカノンは目を輝かせている。
もちろんミーシャとアミルにとってもうれしい贈り物だ。そこにミーナミとノバが少し遅れて現れる。
「なあミーナミ、豪華な朝ごはんをありがとう」
「ああこれか、ハルト隊長とルミナ艦長からがんばれって差し入れだよ。今日はよろしく頼むな」
ミーナミはぺこりと頭を下げる。横にいるノバも同様に頭を下げる。そんな仕草を見ていると、この二人はやはり夫婦なんだなと実感する。
「ごちそうさまでした」
6人は食後のお礼を込めて、手を合わせて挨拶をすると、席を立つ。
「さあ、今日は力を合わせて乗り切ろう」
「おー!」
コスモ1号が格納されている右舷デッキに乗務員であるミーシャ、リリア、アミル、カノンは移動する。
「俺も乗りたいんだ」
「今度乗れるから、今日は我慢しようね」
最後までぐずっていたミーナミはノバに諭されて、しぶしぶ旗艦ルミナスブリッジにアリスが設けてくれたスペースレール指令センターに移動する。
センターは小型宇宙船のブリッジとよく似ていて、センター指令用キャプテンシートが準備されている。
「さあ、機嫌を直して、そこのキャプテンシートに座りなさいな」
ノバに言われたミーナミは改めて指令センターを眺める。
そこは、まさにてっちゃん好みのセンターに仕上がっている。
「ふふん、ミーナミ大尉、ここの仕上がり具合はどうですかね、てっちゃんのハルト隊長からよーく聞き取り調査をしたんだけどナ」
自慢げに説明してくれるのはアリスだ。
まあ自慢されても仕方がないほどに、そこはてっちゃん心をくすぐる仕様になっている。
正面にはメインモニタがあり、スペースレール運航路全体が投影されている。




