#627 リリアはケモミミを揺らし、小首を傾げながらミーシャに尋ねる
#627
「ミーナミからフェニックス2号、大丈夫ですか?」
「ハルトより、大丈夫だよ、プラズマレール敷設用レールキャッチャーも損傷なし、だ」
ハルトはそういうとミーナミを安心させる。一応今回の戦闘における旗艦ルミナスの被害状況を聞いてくる。幸いにこれといった被害はないようだ。ただポジトロンキャノン発射による旗艦ルミナスの艦体だけは確認が必要だという。
「まあ、ちょうどレールの敷設は一区切りついたから、今日は始発駅オツキの近くに停泊して、コスモ1号の初運航に備えて休憩しようじゃないか」
「ハルト隊長、ありがとうございます」
ミーナミもすぐに賛同する。さすがにいろいろありすぎて疲れているのだろう。
「それでは、みなさん、旗艦ルミナスに一度戻ってください」
ミーナミはそう言って、通信を一旦終了にする。
「リリアさん、いよいよ明日はコスモ1号の試運転ですね」
ミーシャたちは左舷デッキに格納しているコスモ1号の最終確認に余念がない。ミーシャとリリアはコスモ1号の先頭部分を、アミルとカノンは連結車両を点検中だ。
「ミーシャさんも{てっちゃん}なんですか?」
「なんですか、そのてっちゃんというのは?」
ミーシャは聞き覚えのない単語をリリアに聞き返す。
「てっちゃん、はハルト隊長が言いはじめらしいのですが、{てつどう}が大好きな大きなお友達、だそうです」
「うーん、わかったようなわからないような、そもそも鉄道が実感できないなあ」
「そうなんですか、ここにいる4人はコスモ1号の栄えある第1号運転士仲間なんですがから、みんなてっちゃんみたいなもんですよね?」
リリアはケモミミを揺らし、小首を傾げながらミーシャに尋ねる。ミーシャはリリアのあまりにも可愛らしい仕草にどきっとしてしまい、顔が赤くなる。
「あれ、ミーシャさん、顔が赤くないですかあ?、熱出たんじゃないですかあ?、大丈夫ですかあ?」
リリアが真剣にミーシャを心配して、思いっきり顔を寄せてくるものだから、ミーシャは思い切って、リリアの肩を抱き寄せる。
「あっ」
ミーシャに肩を抱かれたリリアはバランスを崩してますますミーシャに倒れこんでしまう。




