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#626 ダメです、オウアク様、間に合いません

#626


きゅいーん。


 その瞬間、あたりは星々が爆発したような光により何も見えなくなる。


「すっげーっ!」

 近くで見たティアナから感嘆の声が聞こえる。


 旗艦ルミナスブリッジのメインモニタは飽和して、真っ白になっている。強烈な光が徐々に収まると周囲の状況がモニタに映し出される。


 目標のミサイルは粉々になったらしく、跡形もない。そしてその向こうにいたと思われる敵らしく姿ももちろん確認できない。旗艦ルミナス艦主砲ポジトロンキャノンの威力はやはりすさまじい。


「オウアク様、敵戦闘艦より高エネルギー反応を確認しました」

「わかった、直ちに防御態勢に入れ」


デブリ帯にまぎれて隠れてミサイルをプラズマレールに好き放題に打ち込んでいたオウアクと思われる一群は旗艦ルミナスより発射されたポジトロンキャノンの接近を感知して退避行動に入る。が、ここなら絶対大丈夫と油断したことがそもそも間違いだったらしい。


「ダメです、オウアク様、間に合いません」


「そんなばかな・・・うわあ」

 その瞬間オウアク軍は真っ白い陽電子の光に飲み込まれて、次々と爆発する。


「ちくしょう、次を覚えていろよ」

 オウアクは逃げ足だけはいつも異常に早い。今回も逃げおおせたらしい。


「ぴ、ぴ、ぴ・・・」

 旗艦ルミナスのブリッジに視界が戻ってくる。周囲の宇宙空間はいつもの静けさを取り戻しているように見える。


「ノバよりルミナ、周囲に敵の反応はありません」

「アリスより、プラズマレールの実在を復帰します」


 アリスが宣言すると、プラズマレールはKDLS機能によりお互いを認識し、再びネットワークを再構築する。そして何事もなかったかのように元にもどっていることがモニターで確認できる。


「ハルトより、みんなご苦労様でした、危機は無事に回避できまたよ」

 こうしてスペースレスキュー隊は敵オウアクを退けることに成功する。


「ふう、ミサイルの第3波でもうだめかと思いました」

 ルミナは冷や汗をかいている。



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