#624 自分らはRAI実在人工知能なのに、実在の真の意味を理解していなかったようだ
#624
「ミーナミより、プラズマレール自己防御機能、正常に作動、レールを守りました」
「おおおー」
旗艦ルミナスブリッジからも歓声が沸き上がる。もちろんフェニックス2号操船室からは・・・
「ミーナミ大尉、やったね、さすがは私の旦那様だ」
「いや、アリス中佐が実在解除を装備してくれて、ティアナ少佐が第1弾をうまく誘導してくれたおかげだよ」
「ハルトより、まあそんなわけで、我がスペースレスキュー隊フェニックスは初めてスペースレール防衛に成功したというわけだ!」
ハルトもうれしそうだ。
デブリに紛れてミサイルを敷設したばかりのスペースレールに打ち込むなんてことをするのはオウアク以外には考えられない。
もともとスペースレール計画において、敷設した長大なプラズマレールをどのように守るのかは大きな課題である。
宇宙空間は広大であり、そのすべてをきちんと把握してレールを防衛するなどとてもできることではない。ましてや今後敷設惑星間レールではますます隙ができてしまう。
そこでミーナミが提案したのが、自己防衛できるプラズマレール、なのだ。KDLSを利用して、プラズマレールは埋め込まれたファームウエアにより自立した存在になる。
ならば、危機に際して自分の存在を消すこともできるのではないか、というのがミーナミが提示したアイデアである。
「うんうん、その考えいいねいいね、実に面白い」
アリスがすぐに食いつく。
「そ、そうですかね」
ミーナミの驚きをよそにアリスは続ける。
「そうだねそうだよ、自分らはRAI実在人工知能なのに、実在の真の意味を理解していなかったようだ」
アリスはそういうと、すごいい勢いで暴走し?、実在を一時的に消す機構がプラズマレールに組み込まれる。もちろんその逆もできることを確認後に、その機構は防衛機構として正式に採用されることとなる。
「ハルトよりミーナミ大尉、フェニックス2号帰還せよ」
「ミーナミ了解!」
ハルトから連絡が入ると、ノバはすぐにプラズマレール自己防御機能を切る。実在を一時的にでも解くというのは、プラズマレールにはやはり負担が大きいのだ。




