#621 今のところは何も・・あれっ、ありゃなんだろ?
#621
ミーナミとノバが離脱後しばらくは宴会は続くが、ぼちぼち頃合いを迎えるようだ。
「おやすみなさい」
「明日はよろしくお願いします」
運航担当であるミシャリリとアミカノの4人は早々に宴会を離脱する。ほろ酔いのハルトが起立して、4人を見送る。
「あれ、ティアナ少佐はどこにいるのでしょうか?」
「あっ、そういえばこの宴会に最初からいなかったような・・・」
「そうそう、珍しいですね」
ルミナとハルトは今思い出したと言わんばかりに、心配している風を装っている。
「ちょっと、探してきます」
ルミナはそういうと、席を立ってブリッジに戻る。
さて、当のティアナはティアロイドSにビルドアップして、旗艦ルミナスの周囲を哨戒している、というかふわふわと漂っている。
ティアナはフェニックス隊随一の宴会大好きなのであるが、今日はレール敷設時に何も起こらず、物足りなさを感じている、いや、何も起きないのはなんだかおかしいのではないかと勝手に判断して、ふらふらと飛び回っているのだ。
「ねえ、ティアナ右夫人、何か見つかったかしら?」
ブリッジの窓越しにティアナを見つけたルミナが呼びかける。実はルミナもなんだか胸騒ぎがして仕方ないのだ。
「ううん、今のところは何も・・あれっ、ありゃなんだろ?」
ティアナが指さす方向にはデブリ帯がある。肉眼ではもちろんよく見えないが、ティアロイドにはよく見えているのであろう。
ティアナの言葉を聞いたルミナは帰艦ルミナスブリッジのメインモニタに詳細を映し出す。最初はデブリであり、問題なしと判定されていたものが・・・。ぐんぐん大きさを増して接近してくる。
「あぶない!」
「エマージェンシーだ!」
ルミナとティアナは同時に叫ぶと同時に緊急事態発生を告げるスペースレスキュー隊フェニックス招集シグナルを発する。
「こちらルミナ、緊急事態発生、デブリ帯より発生接近中の未確認物体は、速度を増しながら敷設したばかりのスペースレール第2閉塞付近に接近中、スペースレスキュー隊フェニックス出動を要請します」




