#620 ゆなはねえ、チョコしゃんともうちょっといる
#620
ノバの報告により、旗艦ルミナスのアリス工房から静かに拍手が起きる。その波はすぐにハルトに伝わり、最後にミーナミが言葉をつなげる。
「ミーナミより皆さんへ、おかげさまで予定していた全てのプラズマレールの接続
を終えました。フェニックス2号は旗艦ルミナスに帰投してください」
「フェニックス2号了解」
ハルトは短く了承すると、そのまま左舷デッキより旗艦ルミナス内に収容される。
プラズマレール敷設を終えたスペースレスキュー隊フェニックスの面々が旗艦ルミナスミーティングルームに大集合している。
「みなさん、これでスペースレール計画第一段階であるプラズマレールの仮敷設が全て完了しました、本当にありがとうございます」
ミーナミは深々とみんなに頭を下げて、謝意を表す。
「ミーナミ大尉、君はここまでよくやったよ、さあ、仮設レールは数日で消えてしまう、今日はここで簡単にお祝いをして、明日の試験列車の運行を盛り上げようじゃないか」
ハルトはそういうと、全員に飲み物が行きわたったかどうかを確認する。
「じゃあ、エリオット国王、乾杯の音頭をお願いします」
あいにくエリオットは惑星エリシアで事務作業中のため、アバター参加だが、とてもうれしそうである。
「では余計な話は抜きにしてと、プラズマレールの敷設おめでとう!カンパ~イ!」
フェニックス隊としては久しぶりの宴会である。
が、翌日はコスモ1号の試験走行が始まる。乾杯と同時にビアルを一息に飲み切ったミーナミは真っ赤になったと思いきや、その場に座り込んでしまう。
「ミーナミ中尉、疲れていたからアルコールの回りが早かったんだよ。ノバ少佐、部屋に運んで休ませてやってはどうかな?」
「そうですね、そうします」
ノバはハルトにそういうとぺこりと頭を下げる。
「あなた、部屋に行くよ」
「うーん、わかった」
と夫婦で小声で会話をする。
「ユナはどうする?」
「ゆなはねえ、チョコしゃんともうちょっといる」
「じゃあ、後でいらっしゃいね、みなさん、今日はありがとうございました」
ノバはそういうと、ミーナミの肩を抱いて、ミーティングルームを退室する。




