#614 目をきらきらさせてスペースレールについて熱く語るハルトはけっこう素敵だ
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「それで、ハルトさんはどのあたりがいいんですか?」
ルミナは心底理解できなくてハルトに聞く。
「えっ、全部だよ、全部、スペースレール全部がいいんだよ、きっとこの宇宙最初のスペースレールファンになったんだよね、俺は」
ルミナはどうにもわからないが、ハルトがこんなに喜んでいるんだから、まああまり突っ込まないでおく。
「そんなにうれしいんならミーナミ大尉も喜んでいると思いますよ」
ルミナはあたり触らずに誉めておく。
「うんうん、この世界に来て鉄分補給できると思わなかったら、ちょー、うれしいよ」
「そうですか、それは良かったです、あの、私もプラズマレール敷設の際には旗艦ルミナスを操艦するですが」
「そうだそうだ、ルミナもこれで立派な鉄道保線員だね、いいぞいいぞ、家中に鉄分があふれそうだな」
ルミナは我が夫ハルトの初めて見る{てっちゃん}という一面を見せられて戸惑いながらも、子どものように目をきらきらさせてスペースレールについて熱く語るハルトはけっこう素敵だなと思う。
自分はそこまでスペースレールに思い入れる感情は今のところないが、いつかはそんな感情を何かに持ちたいと思う。
アリスの指示でそれぞれの役割に従って、シミュレータを駆使したレクチャは進み、ようやく全員が役割に慣れたようだ。
スペースレール計画の役割は結局こんな風に決まりつつある。
全体責任者がミーナミとノバ、車両コスモ1号の運転士としてミーシャとリリア、機関士兼交替運転士としてアミルとカノン、プラズマレール関係で、自律プログラマとしてユナとチョコ、レール創生としてアリス、レール敷設旗艦ルミナス担当としてルミナとノバ、フェニックス2号担当に隊長ハルト、周囲哨戒はティアナである。そうそう、渉外は国王エリオットに押し付けてある。
そして、いよいよ試験運行日が仕事を押し付けてあった国王エリオットから連絡が来る。
「おーい、みんな、スペースレールの試験運行日を決めてきたよーん」
インターワープ3ベータと試験運行日を調整していた国王兼司令長官のエリオットから連絡が入る。
「いつに決まりましたか?」
「おう、みんな喜べ、あさってじゃよ」




