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#604 ふふふ、ルミナ、心配するな、俺はな{てっちゃん}なんだ

#604


「ねえ、ハルトさん、フェニックス2号を操縦してスペースレール敷設なんてできるのかしら?」

 ルミナは半信半疑でハルトに尋ねるというか詰め寄る。


 そんなルミナに詰められてハルトはモニタに画像を表示する。


「ふふふ、ルミナ、心配するな、俺はな{てっちゃん}なんだ」

 妙に自信にあふれているハルトを見て、ルミナは心配になる。


「ハルトさん、てっちゃんてなに?」

「てっちゃんというのはな、元世界で鉄道がとっても大好きな大きなお友達のことなんだよ」

ああなんだかハルトの触れてはイケナイ胸の扉を開けてしまった気分だ。


「鉄道は知っていますよ、スペースレール計画も鉄道のジャンルですよね?」

 ルミナが知っている鉄道は、ハルトの記憶から知っただけで、もちろん実物を見たことはない。


「そうだよ、元世界では鉄でできた2本のレールの上を鉄の車輪を装備した車両が高速で走行する乗り物なんだ」


「宇宙船とは随分違う乗り物ですよね」

「そうなんだよルミナ、鉄道の魅力や楽しさは飛行機や宇宙船では味わえないんだよ」

 ハルトはうっとりした顔で力説する。


「はあ・・・」

「で、その鉄道好きを通称{てっちゃん}っていうんだけどね」


 ルミナはこのままほおっておくと無限に機関銃のように鉄道のことをしゃべりそうなハルトを唖然として見る。これが話に聞く「オタク」なのだろうか。


「そのてっちゃんであるハルトさんにフェニックス2号でスペースレール敷設を頼んでも大丈夫ということはどう関係があるのでしょうか?」

 ルミナはようやく聞きたいことにたどり着く。


「今回のフェニックス2号はレール敷設といういわば、貴重な保線作業なんだ」

「はあ?」


「その保線作業をやらせてもらえるなんて、てっちゃん冥利に尽きるってもんだよ」


 正直言ってハルトのそのやる気がどこから出てくるのか、ルミナにはまったく理解できなかった

が、チョコもいるし、自分やノバ、ユナは近くを航行する旗艦ルミナスにいるのだから、なんとかなるだろうと腹をくくる。


「ハルトさん、よくわからないこともありますが、フェニックス2号のパイロットよろしくお願いしますね」

 ルミナは自分の夫ではあるが、一応頭を下げておく。


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