#602 そろそろプラズマレールを敷設したいんだけどナ
#602
#そろそろプラズマレールを敷設したいんだけどナ
「ルミナ艦長、そろそろプラズマレールを敷設したいんだけどナ」
シミュレータ騒動が一区切りついた頃、アリスはフェニックスベースのアリス工房から這い出てくると、旗艦ルミナスブリッジに久しぶりに現れる。そして、ルミナににこやかにお願いしたのが、さっきのセリフだ。
スペースレール計画では、レールと言っているが、プラズマレーザをガイドとする自律型アクティブレールがその正体だ。
宇宙空間にプラズマレーザを敷設し、お互いをリンクすることでレールの役割を果たさせる。リンクするために各レールにはAIをプログラミングにより搭載し、自律することで、広い宇宙空間におけるレールの位置を常に監視確定する。
複雑な航行経路を安全かつ的確に保ってくれるのが自律しているプラズマアクティブレールなのだ。そして最大の特徴は、宇宙空間に敷設されたプラズマレールに発生するであろう予測できないトラブルを能動的に解決できることだ。
そして、プラズマレールはユナやチョコ、まだ見ぬルミナやティアナが産む赤ちゃんたちがプログラミングを施すことができれば、インターワープを通過できる新時代の惑星間交通システムを実現できるのだ。
いよいよアリスが進めているプラズマレールの試作品ができたらしい。
「プラズマレールの試作品はできたんだよねえ、敷設してみたいんだけど、旗艦ルミナスを動かしてもらえるかなあーって」
アリスにしては頼み方が珍しく遠慮がちだ、これはなにかあるな、そう直感したルミナは一応アリスに尋ねてみる。
「なにか、困ったことがあるる?」
「はははっ、なに言ってんの、そんなことないって」
アリスは顔のあたりで手をひらひらと振りながらルミナの質問をはぐらかす。ほんとかなー?
「ねねね、アリスちゃん?」
ルミナがちょっと怪しそうに尋ねる。
「ルミナ艦長、なんでしょうかね?」
アリスの返事もやけに丁寧だ。
「正直にいいなよ」




