#600 はい、私も楽しみです、一緒にがんばろ、です
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だが、ハルト達と出会ってからのことは1秒単位で記憶しているくらい充実している。そして、リリアは今ではカノンと共にスペースレスキュー隊フェニックスのメカ担当として、なくてはならない役割と果たしている、と自負できるまでになった。
でも、将来のことをミーシャに改めて尋ねられると、ちょっと不安になる。
「私も、宇宙のことをもっと知りたいです」
リリアはそう答える。
「そうですか、私と同じですね」
ミーシャはうれしそうに答える。
「でも・・・」
「でも?」
「今はフェニックス隊のメカ担当としての仕事が楽しいし、やりがいも感じていますから」
リリアはちょっと照れるが、正直に答える。
「リリアさん、これからはスペースレールの運転士としても一緒に働けるとうれしいです」
ミーシャはそういうとリリアに握手を求める。
「はい、私も楽しみです、一緒にがんばろです」
リリアもミーシャの手を握り返し、二人は微笑みあう。
「ああー、疲れたー、ミーシャ運転士、交替だよ」
休憩室の扉がぷしゅっと開くと、アミルとカノンが疲れ顔で入室する。
「ああ、お疲れ、何か起きたの?」
リリアがカノンに尋ねる。
「ええーっと、スペースレール前方に障害物を発見、緊急停止して、レールを点検、異常がないかどうか、現在探査中、ミシャリリペアに交替せよと命令がでたので、こっちに来た、です」
「え? 障害物ってなに?大きいの?」
ミーシャが驚いてカノンに尋ねる。
「スペースレールの前に突然、小惑星クラスの岩石群が出現したんです、それで列車は急ブレーキ、間に合わなかったんだー」
アミルも疲れた顔で答える。
「ってことは、車両破損ってこと?」
リリアは心配になって二人に聞く。
「ああ、衝突寸前に回避用バリアが作動して、車両の破損は免れたけど、ゲームーオーバーって表示されちゃって、終わりらしい」
アミルがそう答えていると、アリスがこちらに向かってくるところだ。




