#590 はい、いけます、行かしていただこうじゃありませんか?
#590
「ハルト隊長、今後のスケージュールを教えてください」
ルミナから全員を代表して質問があがる。
「スペースレール計画」まともに取り組めば、惑星国家丸ごとか、巨大企業が100年単位で立案、計画、実施に取り組み、予算はそれこそ天文学に使うほどの数字になるだろう。
「ああ、オツキ始発駅を試験1番列車が発車するのは、自分の予定では、一週間後の午前10時と思ってるけど、それでいいかな?」
「ええっ、それはいくらなんでも短すぎやしないかのう?」
エリオット国王が反論する。
「アリスの準備状況から、一週間でいけると判断したけど、な、アリス、そうだよな」
ハルトはアリスに、目で合図する。
「はい、いけます、行かしていただこうじゃありませんか?」
アリスは期限が設定されれば、目標に向かって突っ走るタイプである。後一週間はちょうどいいのだろう。
「ほか、無理そうなポジションはあるか?」
ハルトが尋ねる。
「あの、列車の運転運航訓練はどのように進めればいいでしょうか?」
ミーナミが質問するのはもっともだ。運転士はミーシャとリリアだが、運転についてはミーナミやノバが指導する必要がある。
「ミーシャ中尉とリリア少佐にはまず学習機に1日はいってもらい、基礎運転術を学んでから、シミュレータ訓練でどうだろう?」
「もう、シミューレータがあるんですね、さすがアリス少佐だ」
そういってミーナミは感心する。
スペースレール計画責任者はミーナミであるが、ミーナミはアリスのようにものづくりはできないし、ノバたちRAI実在人工知能のように企画がきっちりできるわけでもない。自分の価値はどんなところにあるのだろうか、考えてしまう。
「ミーシャとリリアには、アリスご自慢のスペースレールシミュレータを楽しんでもらうよ」
ハルトはミーシャとリリアに手を挙げて合図する。
「はいはいはーい!」
うるさく挙手しているのはティアナだ。
「ティアナ、なんだ、わからんことがあるのか?」
「はーい、哨戒任務って具体的には何をするんですかー?」
ティアナにはレール沿線を適当に飛び回らせようとハルトは考えていたが、質問されたので、一応答えておく。




