#その56 ハルト船長、私、お食事処ってはじめてだから楽しみだよ!
#その56
そういわれてハルトはタブレット端末に表示される膨大なリストを確認する。項目が多すぎてフィルタリングしないと探すのは難しそうである。
「うーん、すぐに欲しいものはないけど・・・そうだ、この{お食事処}ってなんだ?」
「それはですね、このインターワープステーション1で食事ができる施設です。{わしょく}があるそうですよ」
「わかった、ちょっと行ってみるか・・・。」
*インターワープステーション1上陸
ハルトは、地球で散歩の際によく着ていたものと似ている服に着替える。そして身の回り品をバックパックに詰め込む。
宇宙船の後部ハッチのロックを外し、気圧調整を行ってから、ハッチを降ろす。久しぶりの外部の空気だ。気分も高揚し、意気揚々とハルトはハッチを歩いて下船する。ルミナとノバはハルトのスマホに入り込むと勝手に常駐し、一緒にお出かけする体制になる。入場ゲートを通過すると、3人はまず{食事処}に向かう。
インターワープステーション1の{お食事処}は思ったより大きい。ハルトの元いた世界でいえば超大型ショッピングモールのレストラン街という趣だ。大きなホールがあり、椅子がたくさん並んでいるので、自由に座ってくつろぐことも可能だ。
ただし、水も有料でけっこうな値段で販売している。食事はいろいろな星からの宇宙船が寄港することもあってバイキング形式だ。見たことがない料理、ハルトからすれば餌にしか見えない商品もある。宇宙船ルミナでもいろいろな料理を食べることはできるが、ここのメニューラインナップは圧巻だ。
「ハルト船長、ここってね、いろんな星の人がくるから、その人たちに合わせてメニューをたくさん用意しているんだって!」
「へえー、そういわれてみればそうだよな。」
ハルトがバイキングのメニューをみて感心しているとルミナが言う。
「ハルト船長、私、お食事処ってはじめてだから楽しみだよ!」
「そうか、じゃあ好きなものを見てみるといいさ」
「うん、ありがとう、ハルト船長!」
ルミナは嬉しそうにして料理が並んでいるコーナーに飛んでいく。
「ルミナは可愛いな。」
そんな感想をいいながらハルトも料理を選ぶことにする。そして、ノバを探すが姿がない。
「あれっ、ノバは?」
「船長さん、ここだよ!」