#その54 えっへん、ノバも許可が来て接岸バースがわかればすぐに入港できるようにIWC1進路初期設定済みだよ
#その54
「あ・・・ああ・・・・」
ルミナが可愛い声であえぐ。
「あれ、ルミ姉、いつ来たの?」
ノバが目を覚まして、ハルトとルミナの間に割り込む。
「もう、ノバったら、いいところだったのに」
ルミナはぷんすこ膨れて、ノバとそしてハルトを恨めしそうに見る。
「ルミ姉、いいとこって、どこのこと?」
ノバのちんぷんかんぷんな応答を聞くとさらに腹が立つ。
「ルミナ、まあ、いくらでもチャンスはあるからさ。」
「ハルトさん、きっとですよ。」
「ああ、約束する」
ハルトとそんな可愛い約束をしたルミナはノバを伴って船長室を退室する。
休憩にならなかった休憩を終えたハルトは繰船室の船長席に着席する。
「ノバより船長、もうじきインターワープステーション1に着くよ」
「了解。ノバ、いよいよ本気を見せてもらうぞ」
「ノバ了解、がんばるよ」
繰船室にノバの元気な声が響く。
IWS1、インターワープステーション1は、大昔、地球に存在したらしい高速道路に出入りするためのインターチェンジに似ている。ここのステーションは縦長の珍しい形をしている。
これは近くにあった小惑星を軌道からはるばる引っ張ってきて、ここに据え付けた人工惑星のためらしい。IWCがICと違うところは、IWCはインターワープの出入口を管理するだけでなく、ワープまでの順番待ちをするための艦船の停泊施設や乗組員のための宿泊休憩施設を備えているところだ。
IWCでワープの順番を待っている間に乗組員や乗客が情報交換をしたり、長い航海を支える物資をストアで補給したり、娯楽施設で気晴らしができるなど、宇宙オアシス、道の駅だ。
「ルミナ、インターワープステーション1に入港許可申請を出してくれ」
「ルミナ了解、申請済みです。そろそろ許可が出るはずです。」
「おっ、ルミナ素早いな。」
「船長、えっへん、ノバも許可が来て接岸バースがわかればすぐに入港できるようにIWC1進路初期設定済みだよ」
「よし、ノバも偉いぞ」
「ルミナより船長、入港許可下りてました、4004番バースが指定ポートです」