#533 ねえ、ノバさん・・・あの・・・大好きです
#533
フェニックス4号の場合、任せる相手はもちろんノバだ。
ミーナミはノバにそう告げると、ふーっと大きく深呼吸して、これまでの緊張を解く。ブリッジのモニターにはインターワープ内のややひずんだ景色が映し出される。
「ミーナミ船長、ノバ航海長、おっつっかれ様~、順調みたいだね~」
ティアナはよっぽど暇なのか、巡航に入ると、ブリッジにじっとしていることができず、船内をうろうろしている。さすがのティアナもインターワープ内を飛び回るつもりはないらしい。
「退屈だから、格納デッキでトレーニングしてきてもいいっすかねえ」
ティアナはそういうと、ミーナミの承諾を聞くまでもなく、デッキに消えてしまう。
「ノバさん、お疲れ様、おかげさまでここまで順調で来れてます」
ミーナミはそういうと、ノバの航海長席の横にサブシートを引き出して、腰を降ろす。
「ううん、ミーナミ船長のおかげでKDLSを新しく試すことができて、わくわくしてます」
「ノバさんは、フェニックス4号と、旗艦ルミナスの航法を同時にこなしているんだから、宇宙一すごいと思うよ」
「ありがと、でも実際はフェニックス4号の航法データを旗艦ルミナスに送っているだけだから、そんなに負荷はかかってないから」
「それでも、ノバさんはすごいよ」
ミーナミはそういうと、ノバの髪の毛を優しくなぜる。
ノバも気持ちよさそうにミーナミに体をゆだねる。ミーナミはノバの斜め後ろからノバに軽くキスをする。
「ノバさん、ありがとう」
「ううん、こちらこそ、ミーナミ船長がいなかったら、ここまで来れなかったよ」
二人は見つめ合ってほほ笑む。そしてもう一度キスを交わす。
「ねえ、ノバさん・・・あの・・・大好きです」
ミーナミはそういうと、ノバの耳元でささやく。そのささやきを聞いたノバは顔を真赤に染める。
「ミーナミさん、私も大好きだよ」
「ビーッ、ビーッ」
ブリッジの静寂を破って、モニタにアラートが表示され、警戒音が鳴り響く。
「何事が起きたんだ?」




