#530 ミーナミ船長!まだあ、早くー
#530
ノバに手を引かれてブリッジを出るティアナは元気よく返事する。まるでやんちゃな妹を導く姉のようである。そしてそんな姿を後方のブリッジから見送るミーナミは安堵する。
「よかった・・・」
ミーナミはブリッジのモニタに目を向けなおすと、インターワープ3を通過するために必要な設定がちゃんとなされているかどうかを何度も確認する。
肝心かなめの航法ユニットはノバが務めてくれるので、設定はノバ自身が済ませている部分が多い。
だが、ミーナミが船長として活躍するために必要な経験として、ノバは穴埋めのように設定個所を作ってくれてある。設定個所が全て埋まった時にフェニックス4号はインターワープ3に向けて出航することができるのだ。
「ふう、あと5か所か・・・もうひと頑張りだ」
ミーナミはブリッジから見える宇宙空間に浮かぶフェニックス4号と旗艦ルミナスを見ながらほっと一息つく。
「ミーナミ船長!まだあ、早くー」
そんなミーナミにティアナは元気よく催促をする。
「もう少しです、もう少し待ってください」
ミーナミはそういうとモニタの前で足りない部分を埋めようと奮闘を再開する。
その後ろからノバが微笑みながら見守っているのだ・・・。
「ミーナミ船長いいなあ、自分はハルト隊長からいつもすげない扱いされてさっ、左夫人をなんだと思ってるのかね」
ティアナはそういうとノバの背後から抱き着く。
「はははっ、ティアナちゃんらしいね」
ノバも楽しそうに笑う。
そしてそんな二人とブリッジから見える宇宙空間を眺めながら、ミーナミは着々と航法設定の穴埋めしてを仕上げていく。
「やったー終わりー」
外港ポート101番に係留されたフェニックス4号にインターワープ3運航許可が時を同じくして降りる。
「ミーナミ船長、インターワープ3通行許可が下りました」
ノバが満面の笑みを浮かべてミーナミに報告する。
「ミーナミ船長、これで出発できます!」




