#517 未確認物体に危険なしとみなし、救助体制に入ります
#517
ミーナミとノバは慎重に箱に近づく。
「ノバより、箱まで距離2000、アクティブセンサー使用許可ください」
「ノバへ、アクティブセンサー使用承認、センサー目標前方2000、反響あれば、ただちに分析してください」
「ノバ了解、アクティブセンサー、発射」
ピコーン・・・アクティブセンサーのセンシング波が発射される。
「ミーナミより、何かわかったかい?」
「ノバより、あっ、内部にさらに隔壁が認められます」
「ミーナミより、ということは今見えているのは外殻で、内殻がある二重構造ということか」
「ノバより、その通りと推測されます」
ここでミーナミにはいくつかの選択肢がある。このまま破壊する、箱をそのまま鹵獲する、外殻を破壊して、内殻のみ鹵獲する、などだ。
「ミーナミより、未確認物体に危険なしとみなし、救助体制に入ります」
「ノバ了解、ミーナミ船長ならそうすると思いました」
「ミーナミより、救助は、自分が船外に出て、リモートアームにより行います、ノバさんはアームでつかんだ箱を後部格納庫に収納、隔離お願いします」
「ノバ了解」
ノバはミーナミが判断しててきぱきと指示してくれることを頼もしく思う。さすが、我が夫だと誇らしく思う。
「ミーナミより、箱に接近、大きな変化なし、これより船外に出て、箱を確保します」
ミーナミはそういうと、船外活動用ウエアに着替えてエアロックに入る。
「ふー、ノバさん、エアロックのエアを排気ねがいます」
「ノバ了解、再度ウエアの気密確認してください」
「ノバさん、OKです」
ミーナミからの返事を聞いて、ノバはエアロックを排気し、宇宙空間と同じ真空にする。
「ノバより、エアロック排気完了、外扉開きます」
「了解、外扉を開きます」
ミーナミはそういうと、ウエアに装備されているバーニアを吹かして、外扉から宇宙空間にゆっくりと泳ぎだす。
「ミーナミ船長、アーム伸ばします」
ノバはそういうと、フェニックス3号の側面から船外用アームをそろそろと伸ばす。




