#510 ・・・ったく、人の話を聞く気がないやつだな
#510
「おいティアナ、なんでお前が発進する必要があるんだよ」
ハルトはティアナを問いただす。
「はい、ノバ姉とミーナミ船長、一生に一度の新婚旅行に何か起こっては大変なので、自分が露払いを務める所存です、ティアナ、いっきまーす」
ティアナはそういうと、ハルトの発進許可を得る前に、ずきゅーんと左舷ドックの開いたハッチから飛び出す。
「・・・ったく、人の話を聞く気がないやつだな」
ハルトはティアナの勝手な行動にやれやれと思いながらも、フェニックス3号の進路上に現れる障害物はティアナが本気で排除してくれるだろう、とも思う。
「ミーナミよりハルト隊長、これよりフェニックス4号はプラズマエンジンを始動して、巡航に入ります」
「ハルトより、ミーナミ船長、うん、何か起こっても見守るつもりだから、可能なかぎり自分たちで解決するようにな」
「ハルト隊長、ありがとうございます、がんばります」
「プラズマジェネレータ、圧縮完了、プラズマエンジン始動」
「ノバよりミーナミ船長、エネルギー注入開始、プラズマエンジン始動」
「プラズマエンジン出力20、フェニックス3号出航します」
ミーナミがそう宣言すると、ノバがメインモニタを操作する。しゅいーんとプラズマエンジンにエネルギーが流れ込み、船体後方がぐぐっと押される動きを感じる。
フェニックス3号はプラズマエンジンの出力アップと共に加速を開始する。
「フェニックス4号、微速前進、前方側方進路クリア」
「プラズマエンジン出力50、今のところ順調・・」
ノバもモニタを注視しながら、エンジン制御に忙しいようだ。
「プラズマエンジン出力80、フェニックス4号、巡航速度に達します」
「航路このまま維持、3,2,1,0、巡航に入ります」
「船内、無事巡航に入りました、お疲れ様」
「ノバさん、ありがとう」
無事に発進から巡航までシーケンスをこなすことができ、ミーナミの顔に安どの表情が浮かぶ。




