#その51 ハルトは続けて、ターゲットをロックしてプラズマライフルを撃つ
#その51
ハルトはプラズマライフル用トリガを握りトリガに軽く指を添える。
「よし!」
ハルトはモニタから目を離すとトリガをそっと引きながら叫ぶ。
「撃て!!」
その瞬間、船が大きく揺れると同時にしゅいーんという発射音とともにノバの示した小惑星に光の矢が命中し、目標小惑星が四散する。
「やったな、ルミナ。」
「ええ、ハルト船長!」
だが、その喜びもつかの間、今度は分裂した小惑星の破片の一部が宇宙線ルミナに向かってくる。
「もう一発だ、撃て!」
ハルトは続けて、ターゲットをロックしてプラズマライフルを撃つ。
破片はさらに細かく砕けて激しい衝撃と振動が船に伝わり一瞬全員がよろめく、なんとか破片は破壊できたようだ。宇宙空間では小さな惑星の破片であっても飛び散ったときのエネルギーをそのまま保持してあちこちに突き進むために、重力のある地上とは違った怖さがある。
「ノバ、大丈夫か?」
「船長、大丈夫だよ!へへへ、さすが船長、射撃管制うまいね、RAI並みだよ」
「ありがとな」
ハルトはノバに褒められてちょっとうれしくなる。
すかさずルミナが指示を出す。
「本船は破片の隙を縫いながら小惑星ベルトを離脱します」
「ノバ、破片の監視を頼む、ルミナは回避行動を継続してくれ。」
「了解!」
ルミナとノバの元気な返事が頼もしい。宇宙船ルミナはなんとか危機を脱する。
「ノバ、他の小惑星の監視頼むよ、まだ意識を持ってうごくやつがいそうだからな」
「ノバより船長、任せて!」
ハルトたちは危機を脱して一安心するが、まだ油断は禁物だ。この宇宙には意思をもった星がまだまだありそうだし、ハルトからすれば宇宙空間そのものがなんだか危険に感じる。
「ルミナ、船のエネルギー残量は大丈夫か?」
「はい、本船のプラズマ核融合炉は出力80%で安定して稼働中です。しばらくは大丈夫です。」