#484 これらの料理は、アリスが準備してくれた3Dフードメーカーを操作しただけだ
#484
「自分は・・・」
ミーナミはそう言いながら、ノバをじっとみつめる。
そんな視線を感じたノバがちょっと赤くなって下を向いてしまう。
「そうですね、まずは夕ご飯を食べましょうか」
ノバはそういうと、照れ隠しをするようにウッドハウスの中に駆け込む。
ミーナミはそんなノバの後をゆっくりと追いかける。ウッドハウスの中に入ると、ノバがキッチンで食事の支度をしている。
「何かお手伝いしましょうか」
ミーナミがそういうと、
「じゃあ、そこのテーブルにカトラリーを並べてください。」
ミーナミは素直にテーブルにフォークやナイフなど一式を並べる。
ミーナミは大学生なので、フォークやナイフを使った本格的な食事は本当に久しぶりだ。
しばらくすると、ノバが料理を運んでくる。今日のメニューはビーフシチューにパンだ。
ノバは普段は料理はおろか食事もする必要がないので、これらの料理は、アリスが準備してくれた3Dフードメーカーを操作しただけだ。
それでもとてもおいしそうなにおいがただよい食欲を誘う。
二人は向かい合わせに座ると、「いただきます」と言ってから食べ始める。
「カンパーイ!」
ミーナミがそういって、ノバのグラスに自分のグラスをかちんと軽く触れあう。
グラスの中の赤いワインがふんわり揺れて、きれいだ。ミーナミはワインを一口飲むと、シチューをスプーンですくって口にする。
「うん、このシチューとってもおいしいね」
「喜んでもらえて良かったです」
ノバはそういうと、ミーナミに笑顔を向ける。
そんなノバの笑顔にミーナミはぼーっとしてしまう。
「ごちそうさまでした、とってもおいしかったです」
ミーナミはノバにそういうと立ち上がり、食器をキッチンに片づける。
ノバもミーナミに続いて食器を持ってキッチンに入る。
「片づけは任せてください」
ミーナミはノバから食器を受け取ると、自動分別機にセットする。




