#482 ミーナミが自分の左手をノバの右手に重ねるのが同時だ
#482
ミーナミは食事をすることで、落ち着こうと、豪華な食事をバクバク食べている。
「ミーナミさん?」
そういわれて、振り向くとノバがミーナミの横に立っている。
「そろそろ、艦内や周辺をご案内しましょうか?」
「ああっ、それは楽しみです、よろしくお願いします」
「ご一緒しても・・」
ミーシャがミーナミとノバの会話に割り込もうとするのを、リリアが横からつつく。
「ミーシャさんは、このリリアがお相手でも?」
ミーシャはリリアにそう言われて、悪いわけがない。
「じゃあ、行きましょう」
ノバはミーナミの手をさりげなくとると、ブリッジから左舷デッキに向かう。
「ミーナミさんは、宇宙大学で何を専門としているのですか」
「自分は宇宙総合学という、とりあえず宇宙のことはなんでも学ぶ学部に所属しています」
「そうなんですね、それは素晴らしいです」
「ノバさんは何を得意とされているのですか」
「私は得意なんて・・・ないかなあ」
「えっ、でもフェニックス号の運転技術はぴか一じゃないですか」
ノバはミーナミの言葉に、そんなたいしたことないですよ、と謙遜する。
「ミーナミさん、いつ大学へ戻る予定ですか」
「はい、来月の初めには戻らないとまずいです」
「またどこかの宙域でお会いできるかもしれませんね」
ノバはそういって微笑むのと、ミーナミが自分の左手をノバの右手に重ねるのが同時だ。
「はい・・・あの・・・」
いきなり手をつながれて、ノバはあたふたしている。
そんな様子も可愛いなあとミーナミは思う。
二人は左舷デッキに降りると、ノバがフェニックス3号にまたがる。ミーナミはノバの後ろに跨ると、そっとノバの腰に手を回す。
「じゃあ、小島に行きましょう」
ノバはそういうと、フェニックス3号のスロットルを上げて、発進する。
二人はしばらく無言で、いたがそんな沈黙に耐えられなくなったのか、ミーナミが口を開く。




