#479 ミーナミさん、ありがとう 二人ははにかむような笑顔をみせる
#479
「よし、退船しよう、リリアに会えるかな」
とはミーシャである。
「カノンさんに会えるのが楽しみだ」
こちらはアミルだ。
宇宙船マンディ号の乗船ハッチのロックを解除する。ぷしゅっとエアが外部に噴き出す音がして、ハッチが開き、タラップが船外に突き出して、水上に降りる。タラップの階段をミーシャ、アミル、ミーナミの順番に降りていく。ミーナミは船長なので、下船は最後だ。
「ミーナミさん、お疲れ様」
ミーナミをそういって出迎えたのは、ノバだ。
ノバはマンディ号までフェニックス3号でボートをけん引して迎えに来てくれている。
「ノバさん、こちらこそ・・・また会えてうれしいです」
「ミーナミさん、ありがとう」
二人ははにかむような笑顔をみせる。
「ねえ、お二人さん、全員ボートに乗れましたよ」
ミーシャがノバとミーナミをからかうように言う。
「では、出発します、落ちないようにしっかりつかまってください」
ノバはそう言うと、アクセルを回して、いきなりエンジン出力をアップする。
「いやっほーー」
ノバは、そう叫ぶと海上を勢いよく滑り出す。
フェニックス3号にけん引されているボートももちろん一緒に滑り出す。
「こりゃすごい、なあミーナミ」
ミーシャは揺れと振動を楽しむようにミーナミに話しかけるが、当のミーナミは真っ青な顔をして、ボートのへりにしがみついている。そんなミーナミを見て、ノバが声をかける。
「ねえミーナミさん、大丈夫ですか、ゆっくりにしましょうか」
「ノバさん、すみません、ゆっくりでお願いします」
ノバはミーナミのお願いを聞いて、一人ふふっと笑いながら、スピードを落とす。
宇宙飛行士は過酷な宇宙空間での飛行により、船酔いには一般的に強いのが普通であるが、ミーナミはそうでもないらしい。ノバはそんなミーナミの様子を見ていてなんだかミーナミが可愛く思えてくる。
ノバとミーナミ、ミーシャ、アミルの4人は海上をゆっくりぶっ飛ばして、旗艦ルミナスに到着する。




