#477 よし、{トメル}*起動
#477
「さあ、レスキューメカ{トメル}達、高速飛行物体の速度を押さえて頂戴ね」
「イエッサー」
{トメル}達は高速飛行物体とマンディ号、フェニックス3号に取りつくと、ブリッジを形成する。
「よし、{トメル}*起動」
ノバが命じると、ぐんと体が引っ張られる感触を受けて、高速飛行物体の落下速度がみるみる低下する。
「ノバさん、このメカ、すごいです」
ミーナミ達は感心するが、ノバの顔を晴れない。
「火が鎮火しない・・」
そう、摩擦熱で燃え始めた高速飛行物体はまだ燃えているように見える。
「ノバさん、マンディ号に装備されているフォーム消火剤を放出します」
ミーナミはそう言うと、フォーム消火剤をマンディ号前部から噴射し始める。フォーム剤は練習船であるマンディ号が大気圏突入してしまった場合に大気との摩擦熱で燃えてしまうことを防ぐ装備である。
この装備を使えば、乗員を保護することができるが、宇宙船の船体はぼろぼろになり、おそらくスクラップとなってしまうだろう。
練習船とはいえ、高価な宇宙船を破損すれば、学生に多額の賠償責任が生じる可能性があるので、滅多に使われない装備である。
「ミーナミさん、ごめんなさい、マンディ号がだめになっちゃうかも」
「ノバさん、いいんですよ、レスキューが最優先です」
フォーム剤に包まれた高速飛行物体は黒煙を吐きながら、マンディ号とフェニックス3号に支えられながら、惑星ルクレア地表に到達する。
「ルミ姉、どこに着陸すればいい?」
「じゃあ、座標256849へお願いね」
「ミーナミさん、これから指定着陸点までナビーゲーションします」
「ノバさん、ありがとう、こっちも限界なので、助かります」
宇宙船マンディ号は、ぎりぎり限界状態で、フェニックス3号と共に、着陸地点に接近する。
「ミーナミさん、着水まであと、5,4,3,2,1,0、着水」




