#472 ノバ殿、ミーナミ船長ってデートしたお人でござるか?
#472
ミーナミはもしかするとノバが覚えているかもしれないと思って、話しかける。
「ノバ殿、ミーナミ船長ってデートしたお人でござるか?」
「チョコ、デートなんていうとミーナミ船長に失礼だよ」
ノバは顔を真っ赤にしてチョコに言い訳している。
「ミーナミ船長、その際にはお世話になりました」
「もうじき本船は衛星軌道に戻ります、ノバさんに会える機会があるでしょうか」
「ノバ殿、ミーナミ船長、本気のようでござるよ」
「チョコ、余計なこと言わないで」
「ノバよりミーナミ船長、きっと会えると思います、私ももう一度会いたいです」
ミーナミはノバから会いたいと言われて、心の中がぶわっと熱くなる。
「ミーナミよりノバさんへ、絶対会いたいです」
ミーナミはそういうと、思わず涙ぐんでしまう。
「ノバよりミーナミ船長へ、私も会いたいです」
お互いに通信が終わると、なぜか心が通じ合っているようでうれしい気持ちになる。
そうこうしているうちに宇宙船マンディ号は惑星ルクレアの衛星軌道に入る。そして高速飛行物体が大気圏に突入後、燃え尽きるか砂漠に墜落するという予測地点を確認する。
「おい、ミーナミ、高速飛行物体だがな、コースが少しずつ変わっているぞ」
ミーシャに言われて、ミーナミはモニタを確認する。
「このままコースがずれていくと高速飛行物体の落下点は・・・」
ミーナミがモニター上に映し出した場所は、旗艦ルミナスの停泊場所である。
「いかん、ノバさんたちはまだこのことを知らないんだ」
ミーナミはそういうと、通信用ヘッドセットにに向かって叫ぶ。
「ノバさん、ミーナミです、聞こえますか?」
「・・・」
「ノバさん、ミーナミです・・」
「・・・・」
通信障害が起きているのか、ミーナミの呼びかけにノバの返事はない。
「おい、ミーナミ、どうするんだ?」
「よし、みんな、力を貸してくれ、高速飛行物体のコースを変えるぞ」
ミーナミはいつも沈着冷静だし、私情で仲間を危険な目にあわすようなことは絶対にない。が、今回ばかりは少々違うようだ。




