#456 「うん、うんめーぞぉ」 この率直な感想はやっぱりティアナだ
#456
「さあ、そろそろウッドハウスに戻るよ」
アリスがみんなに提案する。
「えー、まだ遊びたいよ」
お約束のようにティアナは駄々をこねる。アリスはそんなことは百も承知だ。
「ウッドハウスに戻ったら、シャワーを浴びて着替えてね」
「そんな、もう着替えるの}
「そしたらセンターハウスでBBQやるからね」
「うん、わかった」
BBQに心動かされたティアナは真っ先にウッドハウスに向かって駆け出す。
ウッドハウスに戻ると、水着から普段着に着替える。そしてウッドハウスのリビングに集合してBBQだ。
BBQコンロが設置されて、野菜や肉を串に刺した材料がすでにいい匂いを発している。サイドにあるテーブルの上にはアリスが用意した焼き菓子やフルーツが並べられている。そのテーブルを囲んで一同は席につく。
「みなの者、ご苦労じゃったな」
ティアナは偉そうにそういうと、さっそくBBQ串に手を伸ばす。
「こらティアナ、まだ焼けてないだろ、お行儀悪いぞ」
ハルトに言われて、ティアナはごめんなさいーとばかりに手を引っ込める。
「さあ、じゃあ、BBQを始めましょうか」
ルミナがそう言うとみんなから拍手が起こる。
コンロの上ではジューという音がして肉と野菜が焼ける香ばしい匂いが漂う。そしてめいめいが焼けた串を手に豪快にかぶりつく。
「うん、うんめーぞぉ」
この率直な感想はやっぱりティアナだ、とっても嬉しそうにいう。
「ほんと、おいしいね」
ルミナも満足げだ。
みんな本当においしそうにBBQを食べてくれるが、本当に味わうことができるのはハルトだけだ。他のみんなはかろうじて実体化しているRAI実在人工知能なので、今は本当の意味で食事を味わうことはできない。
ティアナのみアンドロイドの体を通して、味わうことができるのみだ。それでも食事を楽しむみんなをみて、アリスはいつか本当に食事を楽しむことができるようにしたいといつも決意している。




