#443 へーきへーき、ちょっと砂をかぶっただけだし
#443
ティアナは元気よく右舷デッキから出発する。
「カノンちゃん、アリス姉、私たちも行きましょうか」
リリアはそういうと、フェニックス2号を左舷デッキから発進させる。
右舷デッキから発進したティアチョコは、猛烈な加速のまま、惑星ルクレア衛星軌道を突破する。
「やっほーい」
ティアチョコは、惑星ルクレア衛星軌道から一気に大気圏に突入すると、そのまま地表への降下を試みる。
「チョコ、重力コントローラ動かせる?」
「ティアナ殿、もちろんでござるよ、お任せあれ」
チョコはそういうとブースタ内蔵の重力コントローラを動作させて、降下速度を減速する。
「チョコ、この惑星は緑化が進んでいるね」
「そうでござるな」
二人は高度1000mほどの高度を保ちながら周囲を見渡す。
「お、いい場所発見!」
ティアナがそう言って指さしたのは、10kほどの周囲を持つ、小さな島だ。白い砂浜もあるし、島の中央は緑に覆われていて、いい感じに見える。
「チョコ、あそこに着陸するぞー」
ティアナは、そう言いながら、もう着陸態勢に入っている。
「ティアナ殿、もうちょっと降下速度を落とさないと砂浜にめり込みますぞ」
「チョコ、だいっじょうぶー」
ティアナはそういうと、ひゅーんと音を立てながら、砂浜に着陸する。
ずずーんと、周囲に砂をまき散らしながらもなんとか大地に立てたようだ。
「ティアナ殿、大丈夫でござるか?」
チョコが着陸の衝撃を感じて心配そうにいう。
「へーきへーき、ちょっと砂をかぶっただけだし」
ティアナは砂をぺっぺと払いながら平然としている。
「ティアナ殿、フェニックス2号を呼んでいいでござるか」
「あっ、忘れてたよ、チョコ、呼んで」




