#その44 名前はノバ、ノバ・アストラなの とりあえずこの子って呼ぶのはやめてノバって呼んでね
#その44
ハルトとルミナは船外に出ると、ワイヤを伝って、敵戦闘艦から脱出し、宇宙船ルミナの船内に戻る。エアロックの回復もそこそこに、ハルトは指示を出す。
「よし、宇宙船ルミナ、敵艦より急速離脱」
「ルミナ了解、微速後退、アックスを引き抜きます」
「このままエンジン全開」
「エンジン全開、大丈夫そうです」
宇宙船ルミナはそのまま小惑星ベルトを後にする。女の子を追いかけていた敵艦はひとまず離脱したようだ。ようやく船内は落ち着きを取り戻す。
「ルミナ、あの子の様子はどうだ?」
「そうね、この子は・・・」
ルミナが説明しようとすると女の子から声だけの横やりが入る。
「私はRAI実在人工知能よ。名前はノバ、ノバ・アストラなの。とりあえずこの子って呼ぶのはやめてノバって呼んでね。」
「わかった、ノバ、よろしくな。俺はこの宇宙船ルミナの船長ハルトだ。」
「私はRAI実在人工知能で今はルミナって名前で活動しているわ。よろしくね。」
「ねえハルト船長、ビジョン化してもいいかなあ」
「ああ、ノバ、いいぞ」
「ふう、声だけだと息苦しいから嫌なんだよね」
ノバはそうハルトに言うと50cm3Dビジョンになる。上はブラウス、下はスカートで女子高校生っぽい格好だ。
「なあ、ルミナ、この子は本当にRAIなのか?なんか俺の持つイメージと違うんだが・・・」
「そうですね、私もそう思います。」
ハルトとルミナの会話を聞いていたのか、ノバが話に割り込む。
「なによ、私がどこかおかしいっていうの?」
「いや、別にそういうわけじゃないけど・・・」
「じゃあ、いいじゃない。」
「ノバ、ちゃんとハルト船長と呼びなさい」
「はーい」
ルミナに諭されてノバはしぶしぶ言い直す。