#412 私はここでみなさんをキャノン砲で攻撃、大破させた大罪があるんですよ
#412
「うーん、チョコの仮定を確かめるにはその場に行ってみるしかないってことかしらね」
「拙者はそう判断したので、フェニックス2号に観測機を搭載して、偵察したいのでござる」
うーん、どうしたものかな、とリリアは思案する。それまで旗艦ルミナスのブリッジで話を聞いていたアリスが首を突っ込む。
「その話、乗ったー」
「アリスちゃん、どうしたの?」
突然の雄たけびにリリアが聞く。
「私が思うに、空間の歪みは重力の歪みを伴っているから、もしかすると小型のワープホールができているかもって思うの。なら、近づいて見てみたいっていうのがアリス工房の本音なのよね」
「ねえ、カノンちゃんはどう思う?」
カノンは惑星ルクレア付近で、ハルト達と出会う前は衛星キャノンとして、その場を離れることができず、苦しんでいた過去がある。
「もしかして私がその場を離れることができなかった原因がわかるかもしれないのですか」
「カノンちゃん、そうかもね」
「でも私はここでみなさんをキャノン砲で攻撃、大破させた大罪があるんですよ」
「それはもう過去の話だよ、カノンちゃん、いっておいでよね」
いつの間にかハルトが会話に参加して、カノンを励ます。
「隊長、女子の会話を盗み聞きしましたね、それはイケナイことですよ」
リリアが冗談とも本気ともつかない文句をハルトに言う。
「あっ、ごめんごめん、気を付けるからさ」
ハルトはそういうと、さりげなくその場を離れる。
「ちょっと待ったー」
そう言って口をはさんだのは、ティアナである。
「冒険するなら、このティアナをぜひ、お連れくださいませ」
突撃隊長ことティアナ・アマギが目をらんらんと光らせている。
「ティアナさんは隊長と結婚されたのですから、もうちょっとおとなしくしていた方がよくはないですか」
リリアは冗談めかしてティアナに言う。
「このティアナ様がいい子になったら、その時はきっと世界が滅びる時だからねえ、無理っちゅうもんだよ」
ティアナはそう言ってもう行く気まんまんだ。とても止められそうもない。




