#その40 ルミナ、もしかすると航法ユニットがあるかもしれない
#その40
ルミナの操船で破片を巧みに避けながら微速宇宙線ルミナは前進する。宇宙船ルミナがようやく小惑星ベルトを抜けると、そこには活気がない幽霊船のような雰囲気を醸し出している宇宙船が漂っている。どうやら救難信号はこの船からのようだ。
「ルミナ、停船して」
「はい、船長。」
ルミナは船を逆進することで停船する。
「ルミナ、とりあえず周囲を探査ドローンで探してみよう?」
ハルトはドローンの使用を提案する。
「船長了解、探査用ドローン準備します」
ルミナはそういうと格納庫内をディスプレイに表示する。
小型ロケットを四隅に装備したドローンを格納庫内のカタパルトにクレーンがセットする。
「ドローン、発進」
ハルトがそういうとルミナは漂流宇宙船に向けて探査ドローンを射出する。
「船長、ドローンからの映像が写ります。」
「ルミナ、映してしてくれ。」
探査ドローンは最初は真っ暗な宇宙空間ばかり映していたが、じきにエンジン部分を大破した宇宙船を映し出す。映像から判断するには、大きな武装は見当たらないため、民間仕様と判断できる。
残念ながら内部から生命反応はない。いつ頃からなのかはわからないが、おそらくどこかでエンジンを破損、遭難し宇宙空間をさまよっているうちに小惑星ベルトにからめとられたのであろう。
この無人の難破船から発信されていた救難信号は何年間送信されていたのだろうか、その間に乗員は絶望し、死んでいったのだろうかなどと考えるとハルトはなんだか悲しくなってくる。
「ハルト船長、どう対応しますか」
ルミナに話しかけられてハルトは我に返る。
「ルミナ、もしかすると航法ユニットがあるかもしれない」
「船長、その確率は限りなく低いですが・・・」
「まあ、何かのヒントはあると思うので、もうちょっと接近して調べてみよう。」
「艦長、了解・・・といいたいところですが、この船からはなにやら不穏な雰囲気が漂っています。」
「不穏な雰囲気?それはどんな感じなんだ?」
「はい、この船から悪い波動を感じます。」