#394 ミーナミは女の子に{好き}という気持ちを感じたことがない
#394
生まれてからずっと宇宙飛行士を目指して、小さいころから英才教育を施されてきたミーナミは女の子に{好き}という気持ちを感じたことがなかった。
いや、あったかもしれないけれど、わらなかったのかもしれない。そんなミーナミはノバに対して、好きという気持ちを感じて、手をつないで、ますますノバのことが気になる存在になっている。
もっとノバのことが知りたいし、自分の気持ちを知ってもらいたいと切なくなっている。
「あの、ノバさん・・・」
「うん?ミーナミさん、なあーに?」
そう言って小首を傾げて視線を向けるノバにミーナミは、そっと抱き寄せてもいいだろうか、とノバの傍に体を少しずつ近づけ始める。
まさにその時、ノバが突然大きな声を出して、別のゴンドラを指さす。
「あっ、あのゴンドラ、動きがおかしいよ」
ノバの指さす先には、確かに少しづつ動いているゴンドラが見える。
「そうですね」
ミーナミはノバと少しずつ詰めていた距離を元に戻しながら、ギャラクシーホイールを注視する。
「やっぱり、事故が発生しているよ、ほら、ゴンドラが外れて、宇宙空間に漂いだしてる」
ミーナミが言うとおり、ギャラクシーホイールのゴンドラの一つがホイールから外れてしまったらしい。
その時、ぽろろーんとノバのスマホからコール音が聞こえる。
「ノバ、聞こえる?」
「ルミ姉?、聞こえるよ」
「お楽しみのとこ悪いけど、レスキュー要請があったのよ」
「ルミ姉、もしかして、ギャラクシーホイールのゴンドラが外れたことじゃない?」
「そうよ、よくわかるわね」
「私もそのギャラクシーホイールに乗車しているところで、今、目の前でその事故を直接見てるからね」
「じゃあ、すぐに出動OK?」
「ノバ了解、ルミ姉、フェニックス3号、そっちからリモートで発進誘導できるよね」
「まかせて、フェニックス3号、右舷デッキから急速発進、ノバの位置に1分で着くよ」
ノバはルミナとの通信を済ませると、ミーナミにぺこりと頭を下げて、申し訳なさそうに告げる。




