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#393 妙にうきうきしていることが自分でも不思議なくらいだ

#393


 ノバとミーナミ、二人ともずいぶんと砕けた話し方になっている。ギャラクシーホイールの列に並ぶ際に、ちょっとした{段差}を乗り越えるのであるが、この際にミーナミはノバの手を思い切って握ってみる。


 ノバは一瞬びくっとしたようにも思えたが、手を振り払われることもなく、ミーナミはそのままノバの手をちゃっかりつないだままにしている。この{段差}ももしかすると、カップルの距離を縮めるために設置されているのかもしれない。


 ノバもミーナミと手をつなぐことに抵抗はなかったようで、知らない人からすれば仲良しカップルに見えるのではないだろうか。


 しばらく並んでから、6人はまとまって入場ゲートをくぐる。そしてそのままスカイエレベータに案内される。


 このエレベータは超高速で、30sほどでギャラクシーホイールまで運んでくれる。上昇しているように見えるが、実際はインターワープ2ステーションから水平に宇宙空間に移動している。


 エレベータの扉が開くと、2人ずつペアになってギャラクシーホイールのゴンドラに乗り込む。


 ここでもミーナミはノバに手を差し伸べて、ノバがつまずかないようにサポートしてくれる。


「行ってらっしゃいませ」

 ノバとミーナミはそう言って送り出され、ゴンドラは静かにゆっくり回転を続ける。搭乗口は建物内なので、周囲は何も見えない。


「ようこそギャラクシーホイールへ、間もなくゴンドラは宇宙とステーションの境界である宇宙境そらさかいに到達します。その壮大な景色をゆっくりとお楽しみください」


 案内放送がちょうど終わる頃、ゴンドラは宇宙境に差し掛かり、窓の外には絶景と呼んでもよい宇宙景色が展開される。


「ほお、これはすごいな」

 ミーナミは宇宙船を操縦したことがあっても、このゴンドラでノバと手をつないで見るこの景色はまた心に刻まれるものであろう。


 一方のノバは、ミーナミと手をつなぐことで、ミーナミの体温を感じたりすることも悪くないな、と思い始めている。チョコを肩に乗せる生活ももちろん気に入っているが、人間のしかも若い男の子とこんなに近くで過ごすことは初めての体験で、妙にうきうきしていることが自分でも不思議なくらいだ。


 ノバが感じている今の気持ちは肉体を持たないRAI女子にも思春期がある証拠ではないだろうか。


 そんな思いを巡らせながら、宇宙空間をじっと見つめるノバの横顔は何かの神の末裔と思えるくらいに神々しいとミーナミは感る。そしてそんなノバに、好きという恋心を感じ始めてる自分にとまどっている。



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