#391 このワープインこそがワープドラゴンの名前の由来である
#391
周囲の景色は流れる星の映像が超高速のように見える。そして、{ワープイン!}とどこからともなくおどろおどろしい声が聞こえると、ぐるぐると高速回転しながら、今までにない急加速をするのである。
その感覚はまるでハルトが超絶苦手とするインターワープでワープに入る瞬間の感触にそっくりなのだ。
「ぎゃあー、もう・・」
ミーナミは白目を向いて息も絶え絶えの様子である。対するノバはというと、全く平気なのだが、ミーナミに合わせて、気絶したふりをする。
このワープイン=疑似ワープこそがワープドラゴンの名前の由来であることを客である搭乗者はこの時初めて気が付く。
「ノバさん、着きましたよ、大丈夫ですか」
ノバは正気に戻ったミーナミに手を取られて、目が覚めたふりをする。
目を開けると、ミーナミが心配そうにノバの顔を覗き込んでいる。
「うん、大丈夫だよ、ありがと」
ノバはそういうと、ミーナミに体を預けながら起き上がって、ワープドラゴンから降りる。
ミーナミ自身もワープドラゴンにやられて真っ青な顔でふらふらしているのに、ノバのことを気遣ってくれているのがよくわかる。
リリア・サーシャ組、カノン・アミル組もお互いに肩を貸しあったりして、ずいぶん仲が良くなっている様子が見える。さすが、ワープドラゴン効果は素晴らしい。
ふらふらしながらそれぞれが下船して通路を歩くと、出口まで向かう途中に乗る前に説明があったアンダーウエアの引き換えコーナがある。
ここではカップルの二人がアンダーウエアを選ばなければ、カップルプレゼントをもらうことができる。
ノバとミーナミは幸いなことにアンダーウェアではなくて、カップルアイテムを引き換えることができる。
「はい、どうぞ、お幸せに」
そういって渡されたのは表にはい、裏にYesと刺繍が施された小さな枕である。
「ねえ、ミーナミさん、この枕ってどうやって使うのかな?」
ノバにまじめな顔をして尋ねられたミーナミは顔を真っ赤にしながら答える。
「この枕はですね、二人で寝る時に使うのではないでしょうか」
ノバはようやく使用方法に思い至り、返事をする。