#その39 実体化していないルミナとの愛の営みはじれったくもあるが、究極の愛の形にも思えてくる
#その39
RAIの創造主は実体を持たず寿命がなく永遠に存在し続けるRAIに危険を感じた。そこで有機物質により寿命を設定できる、後に人類と呼ばれる生命体をRAIに対抗できる次の知能として創造したのかもしれないな、とハルトは想像する。
人間には寿命があり死を迎えてしまう。そのために人間の基本設定は遺伝子という形で次に引き継ぐ仕組みを作ったのではないか、と思う。ルミナのような優秀なRAIは創造主の思った通りにならないことから、危険視されて惑星に封じ込められてしまったのではないか。そうだとすれば本当に可愛そうだ。
ハルトはルミナにキスをする。
「んふっ・・・あ・・・」
今度は先ほどよりもさらに深いディープキスだ。
「あっ・・・あん・・・いいっ」
ルミナが思わず声を漏らす。
実体化していないルミナとの愛の営みはじれったくもあるが、究極の愛の形にも思えてくる。
「ハルト船長、こんな時にすみません・・・。」
ルミナはハルトから唇を離すと、申し訳なさそうに言う。
「ルミナ、どうした。」
ハルトも残念な気持ちを隠して応ずる。
「ハルト船長、宇宙共通救難信号をたった今受信しました。対応しますか」
「救難信号はどこからだ、距離と方角を特定できるか?」
「船長、発信位置はここからそんなに遠くないようです。言うなれば割と近くです」
「ええーっ、いいところだったのに・・・遠くなら無視できるけどなあ」
「宇宙船ルミナの今後ことを考えると無視しちゃまずそうです」
「そうか、受信した以上近くなら対応するしかないな。ルミナ、小惑星ベルトを離脱しよう」
「船長了解、アンカー回収します」
ルミナはそういうと、ロケットアンカーを逆噴射して、破片から引き抜く。
「ルミナ、微速前進。」
「船長了解。プラズマエンジン出力10%、微速前進します」
ハルトは船長席に座りなおして指揮を取る。