#388 下着の引換券を全員にもれなく(もれるから)渡してくれることだ
#388
どのような仕組み&理論かわからないが、意識体であるRAIノバ達は、外出時にはアリス特製マイクロマシンによるボディを実装している。
そんなノバ達でも人間向け医療スキャンを無事に通過できるらしい。これはいいことを覚えた。
「アリスちゃん、ありがとう、このボディとっても優秀だよ」
ノバ達は心の中でアリスに感謝の気持ちをそっと捧げる。多分全員、同じ気持ちだろう。
次のゲートではワープドラゴンで何か起こっても裁判を起こさないこと誓約する電子署名を宇宙裁判所に提出することを求められる。
「ノバさん、ここにお名前を書いていただけますか」
ミーナミは自分の名前や住所を書いた搭乗誓約書が表示されているタブレットをノバに差し出す。
ノバはミーナミに言われて、素直にノバ・アストラと名前を書く。ミーナミはアストラ家について、知っていることを総動員して、ノバの出自について想像する。
住所は惑星アルメリアの宇宙港にしておく。ミーナミがノバの住所をチラ見しているが、そのことはむろん話題にしないでおく。
同様にサーシャやアミルもリリアやカノンについてきっと知りたいことでいっぱいだろう。
「はい、どうぞ」
ノバは書きあげた搭乗誓約書をミーナミに差し出す。
この搭乗誓約書をカップル単位で書かせることで、カップルのそれぞれが相手について少しでも知ることができるきっかけとすることも、もちろん目標の一つだ。
この搭乗誓約書には仕掛けがあって、ゲートの出口でブラックライトで照らすと、{婚姻届け}に書き換わるようになっている。
{婚姻届け}は法的には無効なのだが、カップルの親密度を深めるお土産として人気が高いアイテムである。
ミーナミはは嬉しそうに書類を受け取ると、内容をちらっと確認してからゲートの窓口に提出する。
最後のゲートでは女性係員が乗客ににこやかに案内している。
「お客様にご案内します、こちらでは万が一に備えて、アンダーウエアの引換券をお渡ししています、どなた様もお忘れなきようお受け取りください。なお、搭乗後に不要な場合は、カップルアイテムに引き換えることもできますので、最後まで紛失しないようにお願いします」
そう、ここのゲートでは、粗相した場合に備えて、下着の引換券を全員にもれなく(もれるから)渡してくれることだ。




