#384 リリア姉、まずいことがあればこのカノンが一瞬で蒸発させますよ
#384
#「ねえ、彼女たち、俺らとお茶しない?」
遠くから見ているだけの人々の中から我こそはと声をかけたのは、宇宙大学の制服をきちっと着こなしている、いかにもエリートっぽい3人組だ。エリートとして自覚と自信があるように見える。
「彼女たちって私たちのことかな?」
問いかけに反応して、振り向いて返事をしたのは、ノバだ。
「おおっ、言葉は通じたぞ、標準宇宙語でいけそうだ、そうそう君たち3人に向けたお誘いです」
「リリアとカノンちゃん、こいつらなんだかうちらに用事があるらしいよ、どうする?」
振り向いたノバの問いかけに足を止めてリリアが反応する。
「今暇だから、ちょっとだけなら付き合っちゃおうか」
リリアが他人からの関りを無視しないなんて、少しは成長したらしい。
「えっ、リリア、いいの?」
ノバが意外そうにリリアに言う。リリアがナンパに反応するなんてびっくりぽんだ。
「うん、いいよ、この人たちとお話してみたいな」
見た目はケモミミ美少女、しかもお嬢様ルックのリリアが小首を傾げて、返事をする様はそれはもう、天使のようである。首を傾げた時にはらりと垂れ下がる前髪をさらっとかきあげる仕草も完璧という他はない。
「リリア姉、まずいことがあればこのカノンが一瞬で蒸発させますよ」
カノンは相手に聞こえないように物騒なことをリリアにささやく。リリアは、まあまあという顔でカノンを落ち着かせる。
「ここにはチョコもおりますれば、まま、変なことにはならないし、大丈夫でござるよ」
「よし、じゃあ、ちょっくら付き合いますか!」
「ありがとうございます、うれしいな」
3人の中でもリーダーらしい青年が代表して喜びを体を使って表現してくれる。
4人(3人)は知り合ったばかりの学生3人組と連れ立ってぶらぶらと歩き、なんとなく遊園地方面に向かう。
3人は、ミーナミ、サーシャ、アミルという名前で、IWS3ベータにある宇宙大学を卒業する直前の学生さんだ。卒業真近の学生にインターワープ3の通行体験をさせると共に、ここで研修をしている最中らしい。




