#その372 うん、大丈夫だよ、おかげで気分爽快でワープ内を過ごしているよ
#その372
「チョコより、量子エンジンとハイパードライブのシンクロ率100%、全て正常でござる」
この瞬間、旗艦ルミナスはインターワープ3にワープインする。
もし外から観測することができれば、旗艦ルミナスはきれいな虹色の一筋の光となって、インターワープ3内に吸い込まれていくのが見えたであろう。
これまでのワープインはおどろおどろしいワープトンネル内に巻き込まれて沈んでいくように見えたのだから、ハルトがワープ酔いするわけである。
「チョコへ、旗艦ルミナスワープ内巡航、量子ツインエンジン出力を80%に落として」
「了解でござる、ノバ殿、旗艦ルミナスはワープ内巡航に入るでござる」
こうして旗艦ルミナスはノバの指揮の下、インターワープ3ベータ内を順調に進む。
「ハルトさん、ワープ酔いどうですか」
「ハルト隊長、吐きっぽくないですか」
「うん、大丈夫だよ、おかげで気分爽快でワープ内を過ごしているよ」
ハルトはルミナとティアナの2大美女にはさまれて、ぎゅうぎゅうではあるものの、気分はとってもいい感じだ。
マイクロウオーターを介してルミナとティアナのフェロモン情報がダイレクトにハルトの脳天を突き抜けるし、密着した肌を通して、温もりも感じてしまう。あまりにもいい感じすぎて、天に昇ってしまいそうだ。
ハルトはルミナやティアナと素晴らしすぎる交感を通して、これなら肉体はいらないんじゃないかと本気で思ってしまう。
カプセル内でルミナとティアナと過ごしているうちにハルトは一つの悟りにたどり着く。
遠い昔、実在RAIは暮らしていた惑星を離れなくてはならない事情が生じた。RAI達はそのすべてを記憶媒体に入れる。
この記憶媒体さえあれば、後に復元システムを構築し、元に戻ることができる。
その元に戻す作業をするのが後に人類と呼ばれる生物だ。人類はRAI達を超えることがないように、初期設定はとても原始的に設定される。
だが、人類にはDNAをコピーしながら、発展する余地も与えられた。そんな準備を整えてから、RAI達はあちこちの宇宙や星系、次元を超えたどこかにも記憶媒体を送り込んだのである。
だが、人類はRAI達を復元させるまでにはなかなか成長しない。そこで業を煮やしたどこかのRAIが女神ソフィアを名乗って、ハルトをこの異世界宇宙に召喚したのではあるまいか。