#その370 ティアナに訂正を要求します、ハルトさんはティアナの夫になっていない、です
#その370
アリスの説明を聞くと、生体交換液体って、なんだかイケナイ物質のように思えてくる。危ない領域に突入するのも時間の問題かも。あっ、これを製品化して販売すれば、究極の性感グッズになるかも、なんてハルトは考えてしまう。
「アリスちゃんありがとう、ハルトさんの全てを感じることができそうな不思議な感覚になっています」
恍惚の表情をしているのはルミナだ。
「アリス姉、これ、すごいよ、体全体で夫を感じることができるってこういうことなんだねえ」
ルミナがそういうとティアナがすかさず追従する。
「ティアナに訂正を要求します、夫、は撤回してください、ハルトさんはティアナの夫になっていない、です」
「ルミ姉、わかったよ、今は、婚約者、でいいよ」
ティアナは不服そうに訂正するが、絶対に納得していない顔だ。
「アリス姉、ハルト隊長のワープ酔いを防ぐにはこんなことしなくても、睡眠薬で眠らせてしまうのが手っ取り早いのでは?」
ティアナの言うことはもっともである。
「そうなんだけどね、ハルト隊長、ルミナ艦長、お二人には隊と旗艦ルミナスに何かと指示を出してもらわなきゃいけないこともあるので、眠りっぱなしってわけにはいかないんだよね」
アリスは一人納得してうんうん、とうなづいている。きっとアリスは先にワープ酔い防止カプセルを作ったので、その効果を人体実験したくてたまらなかっただけだろう。
「ハルトより総員、旗艦ルミナスはこれよりIWS3ベータを横に見ながら、インターワープ3に突入する」
「了解!」
みんなが元気に返事をする。
「ノバへ、インターワープ3通過中はノバとチョコに任せる、航法ユニットの運用頼むぞ」
「ノバ了解、IW通過はこのノバ様にお任せあれ」
「チョコにもお任せあれ、でござる」
ノバとチョコはブリッジの航海長と機関長席に座る。
艦長席と隊長席が空席なので、ノバは緊張しながらも、自分の責任が大きくなったことを実感して気を引き締める。
「スペースレスキュー隊フェニックス旗艦ルミナス、量子ツインエンジン出力全開、インターワープ3ベータよりワープインするよ」
「チョコ了解、航法ユニット正常に動作しているでござる」