#その369 もがもがもが(溺れる、本当に大丈夫か)・・・あれ息ができるぞ
#その369
「じゃあ、始めますよー」
そういうとアリスはコンソールを操作し始める。
「おい、アリス、何が始まるんだ」
ハルトが質問の返事をアリスから聞くまえに、カプセルの中に液体が流れ込んでくる。
「???」
ハルトは何が何だか分からないが、液体はどんどんカプセル内に流れ込んでくる。そしてハルト、ルミナ、ティアナの体は徐々にその液体に満たされていく。
ルミナとティアナが着用しているスリップドレスが花のように開いて、カプセル内を白い布で覆う。
「おいアリス! これは何だ!」
ハルトは思わず大声を出してしまうが、口の中にも液体が入ってきていて、声にならない。
「ううう、おぼれる・・」
ハルトは声にならない声を出してアリスに訴えるが、アリスは意に介さない。
心細くなってきたハルトは両脇にぴったり寄り添っているルミナとティアナの手をぎゅっと握りしめてしまう。
「ハルトさん・・」
「ハルト隊長・・・」
ハルトに手を握りしめてもらって、天にも昇る気持ちになったルミナとティアナはひしっとハルトに両脇から抱き着く。
「アリスです、カプセル内を満たしている液体はアリス特製マイクロウオーターMWです。肺の中まで満たされればMWから酸素を取り込める特殊な液体なので、安心してください」
「もがもがもが(溺れる、本当に大丈夫か)・・・あれ息ができるぞ」
「ハルト隊長、だから、大丈夫と言ったのです、この通り、会話もOKです」
マイクロウオーターはハルトの声帯振動を正確に拾えるので、会話もできるし、鼓膜に液体振動を伝えるので、耳も聞こえる。
「アリスへ、だいぶ落ち着いてきたよ、ところで、RAIであるルミナとティアナにMWは意味があるのか?」
「ハルト隊長、よく聞いてくれました、このMWはRAIであるがゆえに普段は伝わりにくい彼女たちの温もりや汗、体臭、フェロモンまでもハルト隊長に伝達できる究極の生体交感液体でもあるのです」