#その365 もうちょっとうふふ、あははの会話ができないものか
#その365
「エリオットより総員、通常であればインターワープステーション3ベータには通過許可が出るまでに数日かかることもあるが、旗艦ルミナスはこれまでの実績を踏まえて、最優先でIW3を通過できることになっとる」
エリオット司令長官は惑星エリシアの国王でもあるので、気を利かせて、国王権限を使ったのだ。
「ええー、ベータに寄らないのー?」
一人ぷんすこ怒っているやつがいる。
そいつの名はティアナだ。せっかく父王であり司令長官であるエリオットがずるして、すぐにインターワープ3を使えるようにしてくれたのに、怒っているのだ。
ティアナは宇宙の1,2を争う美人なのだから、もうちょっとうふふ、あははの会話ができないものかとハルトは思う。
そしてティアナはお姫様の癖にやっぱりヤバい奴だったか、とハルトは改めて思ったが、決して口にはしない。
「ハルト隊長、へへへ、ちょっといいですか」
にこにことハルトに近寄ってきたのは、アリスだ。
「ん、どうした?」
「えへへ、私、ハルト隊長のワープ酔いの対策を考えたんです」
ハルトはインターワープを通過するたびに車や船に寄ってしまった時と同じように頭の中がぐるぐる回り、嘔吐感に悩まされるのだ。
通常の宇宙空間航行では船酔いの症状は現れないのに、ワープ通過時のみ激しいワープ酔いに襲われてしまう。
それで、ハルトはインターワープを通過しなくてはならない航行を考えるだけで、憂鬱になるのだ。
「アリス、話を聞かしてもらおうじゃないか」
ハルトはそういうと、アリスを隣に座らせる。
「えへへ、私、実はインターワープに結構詳しいんです」
「ほう、そうなの?」
「はい! それで考えたのはですね・・・」
アリスがハルトに耳打ちする。その対策を聞いたハルトは思わず顔を赤くする。
「おま・・・それ、まじでやるのか?」
「ええ、もちろんですよ!」




