#その359 うん、これこれ、これでござるよ、ささ、ハルト殿、お毒見をどうぞ
#その359
それを聞いたアリスはすかさず返事をする。
「おっけー、おっ、調剤処方箋がチョコからもう来てるよ、さっそく調剤してくるねー」
言うが早いか、ぴゅーっとダッシュしてアリスは工房に行ってしまう。
「まあ、ワープ酔いが少しでも楽になるなら、ありがたいことだ」
ハルトはそういいながら、みんなが心配してくれてうれしいのである。
ハルト達はお茶を飲みながら一服していると、通路をアリスがどたどたと戻ってくる音がする。
「ハルト隊長、おまったせー、ワープ酔い防止薬の調剤ができたよー」
「アリス姉さん、さすがですな、もうできたのでござるか」
「うん、似たようなのを前に調剤したことがあるから、速くできたよー」
アリスはそういうと、藥包をチョコに渡す。チョコはふんふんとにおいをかぐと、大きくうなづく。
「うん、これこれ、これでござるよ、ささ、ハルト殿、お毒見をどうぞ」
「チョコ、アリス、ありがとう」
ハルトはそういって藥包を受け取る。紙包みをほどくと、真っ黒で真ん丸の薬が2粒出てくる。
「これは前の世界でも似たような薬があったぞ、そいつはおっそろしく苦くて・・・」
「ささ、ハルト殿、さっそく飲んでみてくだされ」
チョコがうながし、アリスはもう水も用意して待っている。
「それでは・・」
ハルトは二粒を口に含む。
「ううう、なんだこの苦さは・・・」
「ハルト殿、それがいいのでござるよ」
チョコは涼しい顔である。
吐き出すわけにはいかないので、ハルトはコップ一杯の水と共に目を白黒させながらなんとか飲み下す。
「うへー、にがい・・・」
ハルトは舌をべーと出して、水で口直しをしている。
「隊長殿、これでワープ酔いもだいぶ軽減されるはずでござる」
「チョコ、ありがとうな」
ハルトがそういうとアリスはすかさず突っ込む。
「チョコの黒丸ってすごいねー」
「いや、拙者の薬など大したことはないでござるよ」




