#その352 こちらイルカ号、おお、夢ではないよな
#その352
「チョコ、イルカ号、めっけ!」
「ノバ殿、フェニックス3号、急速停止」
イルカ号はインターワープの側壁に引っかかっているように見える。
「イルカ号、聞こえますか、フェニックス3号が助けに来たよ」
「こちらイルカ号、おお、夢ではないよな」
「これより、イルカ号をけん引して、ここから脱出します」
「お願いします」
ノバチョコは、インターワープ内を動けることを確認すると、イルカ号周辺を移動して、しっかりワイヤをかける。
「チョコ、じゃあいくよ」
「ノバ殿、拙者のくそ力、とくとご覧あれ」
フェニックス3号は、その瞬間元来た方向に反転する。これまではワープ内での方向転換がご法度とされてきたが、フェニックス3号は航法ユニットを2つ装備していることで不可能を可能にしているのだ。
「チョコ、パワー全開」
「フェニックス2号、{太公望}巻取り開始、ティアナ、TURIBITO巻取り開始」
ノバはそういうと、フェニックス3号を器用に操って、イルカ号のけん引を開始する。
「よし、いくぞー」
一気にパワーを全開にして、フェニックス3号はアルファ口に向かって、飛行を始める。
同時にフェニックス2号、1号も巻取りを開始する。ぴーんと張られたワイヤはまたしても失敗するのかと思われたが、徐々に巻き取られていく。
「いっけー」
ノバは行けると判断して、全力を投入する。
「よし、もうちょっとだよ、みんながんばってー」
ティアナの激励で、フェニックス2号リリアとカノンにもますます熱が入る。
そして・・・ようやくインターワープ3の影響圏からクルーザーイルカ号は完全に離脱する。
「ティアナよりハルト隊長、やったー、ノバチョコがクルーザーイルカ号をIW3から釣り上げたよー」
テ ィアナが大喜びで報告すると、ルミナス船内は歓声に包まれる。
「よかったねー、みんな」
ルミナス艦長のルミナは嬉しそうにいう。




