#その348 アリスより、ハイパワーTURIBITO{太公望}ができたよ
#その348
「ティアナよりフェニックス2号、いいよー、クルーザーイルカ1は順調に出口に向かっているよ、このまま続けて」
「リリア了解」
「カノン了解」
カノンはそういうと、クルーザイルカ号を安全圏まで運ぶためにTURIBITO達を少しずつ移動させる。その動きに合わせてクルーザイルカ号は少しずつIW3内部から引っ張り出される。
「あれえ、止まった?」
TURIBITO達ががくんと突然移動を止める。
「カノン、動かなくなったよ、何か起きた?」
リリアが思わず叫ぶ。
「カノンより、IW3からの引き込み力が上昇中です」
「ええーっ、なんでまた?」
「IW3はどうしてもクルーザーイルカ号を食べたいようです」
「フェニックス1号、もう一度アンカー打ち込んで!」
「フェニックス1号了解、アンカー再度発射します」
様子を見守っていたティアナは再びアンカーをクルーザに射出し、固定する。
そしてフェニックス1号はTURIBITOと共に力を合わせて引き始める。だが、IW3の引き込み力が増しているのか、ワイヤーはぴんと張ったままで、クルーザイルカ号の動きはにぶいままだ。
「フェニックス1号より、動きがにぶい、もうちょっとパワーを増やせないか?」
「リリアより、今検討中、30秒だけ待って!」
リリアは失敗した場合に乗員もろともIW3に引き込まれる可能性があり危険と判断して、フェニックス2号は使っていない。だが、躊躇する段階はとっくに過ぎているようだ。
「リリア、お待たせー!」
その時、ちょうどコンテナで作業していたアリスから連絡が入る。
「アリスより、ハイパワーTURIBITO{太公望}ができたよ」
アリスはやはりコンテナ内工場でマイクロマシンと共に創造に勤しんでいたようだ。
「ハルトより、{太公望}はノバチョコに任せる」
「ハルト隊長、ノバチョコ了解、頑張ります」
ノバはチョコを背中に乗せたまま、フェニックス2号のコンテナに移動する。そこには、ノバ専用スペースバイクが格納されている。制服から宇宙服を装備したノバは、スペースバイクにまたがる。




