#その347 フェニックス1号、もうじきそっちにTURIBITOが到着するよ
#その347
「フェニックス1号、もうじきそっちにTURIBITOが到着するよ」
「TURIBOTOってなに?」
「レスキューメカだよ、着けばわかるよ」
「??」
「そうしたら、引っ張ってるワイヤーを緩めてもいいからね」
「フェニックス1号了解、リリア頼むね」
リリアはティアナの承諾を確認する。
「リリアよりフェニックス1号、TURIBITOがクルーザーイルカ1に到着、3,2,1,フェニックス1号、アンカー解除」
「フェニックス1号了解、アンカー解除!」
ティアナはそういうとアンカーをすぐに巻き取る。クルーザーイルカ1に到着したTURIBITO達は、クルーザを取り囲む配置に着く。
「TURIBITO操ってるのカノンちゃん?すごいね、一糸乱れぬ動きだよ」
「フェニックス1号ありがとう、私、武器を操作するよりこのレスキューメカを操縦するほうがすごくやりやすいんです」
カノンは火器管制AIだ。RAIには一歩及ばず、衛星キャノンを正確に制御するためにカノンのAIは利用されていたらしい。
カノンは意にそぐわない命令も拒むことなく受けいれており、そんな自分がとても嫌だったと語っている。衛星キャノンの能力からして、大型の戦艦を撃破することもできたはずで、耐え難いこともあったのであろう。
「リリアよりカノンへ、よーし、TURIBITO、一斉に糸を投げて」
「カノン了解、2,2,1,TURIBITO、GO」
カノンの指示でTURIBITOは持っている棹をしならせて、予定された場所にフック付きのワイヤーを投げ込む。TURIBITO達はフックがきちんとかかっているかどうか、釣り人そっくりの動作で確認する。
「リリアよりカノンへ、よし、かかった、釣りあげるよ」
「カノン了解、釣りあげます」
カノンはそういうと、TURIBITO達を巧みに操り、ワイヤーをしならせるとTURIBITO同士のバランスを取りながら、ワイヤの巻き上げにかかる。
1000台はいるであろうTURIBITOが棹をしならせて大漁だとばかりに、クルーザーイルカ号を釣り上げようとする姿は、レスキュー現場でありながらユーモラスさえ感じさせてくれる。
TURIBITOの活躍によりクルーザイルカ1はインターワープ3の吸引力に逆らって徐々に出口に向かって動いていく。




