#その344 ロケットアンカー射出準備完了、発射まであと3,2,1,発射!
#その344
「イルカ号は航法ユニットの突然の爆発により暴走、その結果IW3出口から逆走して内部に引き込まれています」
「ティアナへ、原因は不明だな?」
「隊長へ、そうです、原因はわかりませんが、レスキューは一刻を争います」
「ティアナへ、状況はわかった、すぐにできることはあるか?」
「隊長へ、そちらの到着までに引っ張り出すことを試みるけど、やっていい?」
「よし、ティアナ頼む、ただし、危なかったらやめるようにな」
「ティアナ、了解」
「フェニックス1号よりクルーザーイルカ号へ、これよりアンカーをこちらから射出してワイヤをイルカ号に巻きつけます。ワイヤをフェニックス1号で引っ張って、移動を少しでも止めることを試みたいんだけど、OK?」
「フェニックス1号へ、わかります、OKです、ワイヤを巻き付けるときに衝撃はありますか?」
トーダ船長は不安であるが、できることは全て試したいとも思っている。
「多少はあります、でもわかっていれば驚かないレベルです」
「フェニックス1号へ、このワイヤは通信回線も兼ねているので、今よりもよく聞こえるようになると思います。ワイヤー射出を試してもいいですか?」
「フェニックス1号へ、わかりました、お任せします」
トーダ船長の気持ちは決まったようだ。
「フェニックス1号より、それではアンカーをイルカ号に向けて射出します」
ティアナはそういうと、高剛性ワイヤを取り付けたロケットアンカーを背中のキャリアから取り出す。
そして左手に装備しているアリス特製マルチランチャーにセットする。正常に取り付けを終えたことを確認するとイルカ号に向けて、照準を合わせ、すぐにカウントを開始する。
「ロケットアンカー射出準備完了、発射まであと3,2,1,発射!」
ティアナがトリガーを引くと、軽いショックがあり、シューンと小さな音を残して、ロケットアンカーは暗闇を切り裂き、飛翔する。
このロケットアンカーはAI内蔵で意思を持っている。自立飛行し、巧みなコントロールをしながらイルカ号の先端にふんわりと巻き付く。巻き付きを確認するときゅっと締めこみ、固定する。
「よし、うまくできたよ、アリスのメカはやっぱり優秀ね」
ティアナはティアロイド左腕に装備しているランチャのパネルを操作すると、ロケットアンカーのワイヤの巻き上げを始める。




