#その342 ルミナ艦長、見つかりました、イルカ号に接近します
#その342
「フェニックスよりIWS3管理センターへ、こちらはこれよりレスキュー活動に入ります。可能であれば協力よろしくお願いします」
「IWS3管理センターです、承知しました、よろしくお願いします」
ルミナは通信を切る。事故が起きても対応しない無責任な管理センターに対してルミナは違和感を感じるが、今は目の前のレスキューが大切だ。
「ルミナよりハルト隊長、IWS3管理センターはすぐに対応できない体を装って、対応しないつもりのようです」
「ハルトより総員へ、インターワープステーションの全面協力を得ることは難しそうだけど、邪魔されることもなさそうだから、みんな安心してレスキュー活動に取り組んで欲しい」
「ルミナより、管理センターはこんなことでいいのか、私は疑問を持ちます」
「まあIW付近での活動はやっかいだからな。フェニックスはそんな時こそ真価を発揮しようじゃないか」
「うううおおおおーーーー」
「艦長よりフェニックス1号、そろそろブースタを分離して」
「フェニックス1号了解」
ティアナは背中にドッキングしていたプラズマブースタを分離して、本体のエンジンに切り替える。
目一杯加速を続けたFX1ティアロイド・ティアナはIW3アルファ付近に到達し、減速すると目標地点に慎重に接近する。
「えーっと、レスキュー対象はどこかな」
ティアナは自分の周囲をサーチする。
「ルミナ艦長、ここいらで場所は合ってます?」
「フェニックス1号へ、そのあたりのはずだけど、見つからないかな?」
ティアナはサーチ範囲を少し広げると、IW3出口のあたりに高速クルーザタイプの小型宇宙船が見つかる。色は白だろうか、サイズは50ほどで、どこぞの貴族がお忍びの遊びに使うデラックスタイプに見える。武装は今のところ認められない。
IW3出口付近には空間のゆがみがあり、視認しにくかったようだ。見つかった宇宙船はあらぬ方向に船首を向けて、停泊、いやかろうじて引っかかっているように見える。
ティアナは「あれか?」と目星をつけて、ティアロイドのバーニアを止め、慣性航行になったところで逆進ブレーキをかけながらイルカ号慎重に接近する。
「ルミナ艦長、見つかりました、イルカ号に接近します」
「フェニックス1号、十分気を付けて接近して、IW3内に入っちゃだめだよ」




