#その341 こちらIWS3管理センター、フェニックス隊ルミナさん、聞こえますよ
#その341
がきゅーん・・フェニックス1号はカタパルトから射出され、ものすごい速さでフェニックスベースの外に飛び出す。
そして直ちにプラズマブースターに点火して、宇宙空間に向けてさらに加速するとあっという間に見えなくなる。
そのまま惑星エリシアの重力圏を脱出したフェニックス1号は、さらに加速を続ける。このようにして爆速ティアロイドSはレスキュー現場に急ぐ。
一方フェニックス本隊である宇宙戦艦ルミナス改めレスキュー隊旗艦ルミナスはハルト、ルミナ、ノバ、リリア、カノン、アリスとそれにチョコ、アリスがこれまでに生成したレスキュー装備を搭載して、フェニックスベースを離陸する。
フェニックスベースはハルトのわがままで、かっこよさにこだわった結果、海中より出入りすることを前提とした設計となっている。
それではレスキュー出動の際には時間がかかりすぎると隊内で批判が殺到した結果、レスキュー隊出動用構造が必要となる。
検討した結果、普通の構造ではあるが、天井の岩盤ごとドームが開閉する発進機構を備えることになる。
この機構により、レスキュー艦ルミナスは整備用ドライドックから重力コントローラを作動することにより、そのまま離陸して垂直上昇することができる。
ただ、その際にドックの天井が大きく開くので、敵が攻撃を仕掛けてくる場合には使うことはできない。
また、反重力コントローラをドライドックで作動すると、空間振動などの副作用が発生するが、我慢できる範囲であるとしておく。
ドライドックを離陸したレスキュー艦ルミナス号は重力コントロールを作動して、そのまま垂直離陸し、重力圏を離脱後、衛星軌道を目指して上昇を続ける。身軽なティアロイドはそろそろ現場に先行するだろう。
「こちらスペースレスキュー隊フェニックスのルミナ、インターワープステーション3アルファ、聞こえますか」
ルミナがIWS3を呼び出す。
「こちらIWS3管理センター、フェニックス隊ルミナさん、聞こえますよ」
「IW3アルファ付近で事故が発生しているようだが、そちらで把握しているか?」
「IWS3より、事故の発生は把握していますが、詳細は不明です」
「フェニックスより、これよりスペースレスキュー隊フェニックスが現場に向かうが、許可を出してもらえますか」
「IWS3より、IW境界付近でのトラブルには対応したことがないので、こちらから力を貸すのは難しいかしれません」
「フェニックスより、それではフェニックス隊で対応してよろしいか?」
「もちろん構いません、お願いしてもいいですか?」
各国、各惑星が共同管理しているインターワープで発生している事故への対応は関係機関の協議が必要なようで、すぐには対応できないのであろう。ならば、フェニックス隊が対応してもいいと思われる。